テクノポップ/Perfume関連

Perfume対談~直角二等辺三角形TOUR(9ページ目)

19公演にわたった直角二等辺三角形TOUR終了! 第1回は8月に行われた福岡と愛媛の中ホールでのライヴをもとに、助手と研究生を迎えて対談を始めます。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ジェニーはご機嫌ななめ~


先生:
研究生、完全に助手の妄想癖が伝染っていますよ。気を付けてください。
多くの初期の曲がライヴから漏れてしまう中、「ジェニーはご機嫌ななめ」は健在です。ライヴのアンセム曲「Perfume」と同じく、やはり掛け声曲として単純に盛り上がる曲は強い。

研究生:
現在のPerfumeの発言では、「初期の曲は、今の私たちがやりたいことではない」という主旨のものがちらほら見受けられます。しかし、僕はこれがファンのニーズと大きくずれているような感がしてまして・・・。

先生:
僕はそれはそれでいいんだと思っているんですよ。確かにやってほしい曲はありますが、あの時が最盛期というよりも今が一番と思い続ければいいと・・・

研究生:
Perfume初期のど真ん中アイドルチューンって、ハウス系のテクノポップが全盛の今だからこそ輝くと思うのですが…。早い目のBPMでフリーキーに騒げる「痛ソング系」って、アイドルのライヴには必須の要素だと思います。いつのまにかオリコンチャートの常連になっているアニソンはその系統ですし、あの系統のグルーヴ感にはなんだかニューレイヴ的な躍動も感じるし。

先生:
実は初期の「スウィート・・・」以降のPerfume曲については、僕はアイドル臭は強いですが、それほどど真ん中とは捉えていないのですよね。

研究生:
不思議なバランス感覚と言い換えてよいかもしれませんが、こういった振り幅の広いレパートリーに基づいたポピュラリティこそがPerfumeの存在意義のはず。なのに、今のライヴはおしゃれなハウスチューンばかり。つまり、偏った状況のように感じられるんです。あえて極端な例を出すと、「アキハバラブ」は現在のPerfumeが絶対やりたくない一曲のはず。ところが現在のJ-ポップ(ヲタ系)アンダーグラウンドシーンにおける最先端の気分に最も近いのは、実はあの曲だったりします。

先生:
それ(やりたくない)については、(もしそうだとしても)Perfumeに賛同します。

研究生:
ほんとにむちゃくちゃな曲だと、僕も思います(笑)。Perfume本人は20歳やそこらの女のコたちですから、自分たちの将来を「おしゃれなテクノポップユニット」に設定したいのは当然ですし、10年近い下積みがあればその気持ちはなおさら強いでしょう。しかし、そこに偏りすぎることがPerfumeというユニットの将来になるとは限らない。 ブレイク以降、Perfumeのファン層は変化し続けています。しかし、彼女たちを支えているのは今も昔も全部ひっくるめて好きな層。そこにはオシャレな人もいれば、コアなアイドルファンも存在しています。けれども、彼女たちが「アイドル」であることを本当に誇りに感じているのならば、今一度、この層が持つ多様性と意識的に向き合ってほしいです。そうしないと、結果的に“根無し草”になってしまうのでは?という怖さはあるかも。

Perfumeがオシャレ路線をどれだけ突き詰めたところで、木村カエラや安室奈美恵のようなアーティストにはなれないでしょう。どこかで「アイドル」なんだという割り切りをはっきりつけるべきではと思いますね。ま、それでも「アキハバラブ」を歌いたくはないだろうとも思いますけども(笑)。

先生:
Perfumeファンも今や幅が広がって、どこにターゲットを絞るかというのは確かに課題ですね。個人的には、過去を否定せず、でも囚われることなく進化し続けるというのが希望です。欲しいのはサプライズです。
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