テクノポップ/YMO関連

キリンラガーはどうしてYMOを起用?(2ページ目)

YMOとCMをテーマに連載記事を書いてみたいと思います。先ずは、CMで久しぶりの復活を果たし、8月22日にはCDもリリースされるキリンラガーのCMについて考察してみましょう。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

YMO起用へのシナリオ

さて、どうしてキリンビールはYMOを起用したのでしょうか? もし、僕が担当者ならば、こんな感じで強引にYMO起用へのシナリオを立てます。

キリンラガーは、1997年にアサヒスーパードライに首位を奪われてしまいましたが、ビールとしては45年間首位を保ってきたブランドです。我々が90年代に幅広い年齢層のキャスティングをし、中年男性だけでなく、若者を取り入れようとするラガーCM戦略も、かえってターゲットを絞りきれずに不発に終わりました。ラガーに重要なのは、ターゲットを絞り込む事です。ずばり、ラガーのターゲットは、40代から50代の男性。

「時代は変わる、ラガーは変わるな。」がキャッチコピーです。時代感を出すためにも70年代~80年代前半に活躍して今も知名度があるミュージシャンを起用します。

NARKISSOS
先ず第一弾は、サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」(1974年)。この起用に、40代後半から60代前半おやじまでは興味を持つはずです。これで、ロックおやじのハートはつかみます。木村カエラを入れる事で、少し若い人にもアピールを狙ってみましょう。深田恭子と土屋アンナが出演した嶽本 野ばら原作の映画『下妻物語』でもbrowny circusによるカヴァーが使われていましたから、結構若者受けするかも。ターゲット的には色気を出しすぎかもしれませんが・・・

さらに一般的な40代から50代おやじに訴求を広げましょう。寺尾聰の大ヒット曲「ルビーの指環」(1981年)なら認知度も抜群です。

ダメ押し的にチューリップの「青春の影」(1974年)。

担当者が本当にやりたかったのは、YMOではないでしょうか? 高橋幸宏つながりでミカ・バンドできっかけを作り、なんとか口説き落としたYMO。坂本龍一は以前、サッポロドラフトのCMに出ていたので、ビールの宣伝は嫌いではないはずだとの確信もあったのかもしれません。

やはりここは代表曲「RYDEEN」。ミカ・バンドと同じく新しくレコーディングをしてもらえば、さらに話題になるはず。その後、本当に再結成して、ライヴとかレコードを出せば、キリンラガーに感謝する人も多いはず。いや、それを実現させるとは、これは凄いことになるぞ。YMO再結成というのは、他の再結成とは比べ物にならないほどの価値がある。俺は英雄だ!・・・なんていうのは、あくまでも僕の勝手な推測です。

YMOファンとしては嬉しい限りですが、このCMの売り上げに対する貢献度が気になるところです。

次は、YMOが登場した最初のCMについて。乞うご期待。
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