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海や山の神様たち-ここでも今でもない話-(2ページ目)

教授の『GEM』に1曲収録されていた幻のアルバムがCD化! 合唱団の子供たちは、教授をピアノのうまいお兄さんと呼んでいたそうです。このアルバムを企画をした及川恒平(六文銭)さんに話を伺いました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

当時の反響

ガイド:
では、今回の本題、及川さんが構成・作詞をされたアルバム『海や山の神様たち-ここでも今でもない話-』についてお話を伺いたいと思います。このアルバムが1975年に発表された当時の反響はどうだったのでしょうか?

及川:
からぶりだったと思います。もっとも、いわゆる学芸モノとしての発売でしたから、ヒットさせようなどと、少なくとも僕は考えていませんでした。ただし、ヒット路線を追いかけずにすんだので、取材や人選(坂本氏やシュガーベイブなど当時としてはそれほどネームバリューのない)の自由があったと思います。北海道に何度か出かけて、図書館に行って文献にあたったり、博物館を見学したりしていました。もっとも、どちらも僕が子供の頃通っていたところですが。

表現に対するクレーム

ガイド:
アイヌのユーカラがこのアルバムに触発されて作られたようですが、ユーカラとは? またアイヌ文化やユーカラに興味をもたれた理由を教えてください。

及川:
及川恒平


僕は北海道に生まれそだった人間なので、そこそこ身近にアイヌ文化がありました。アイヌ語は文字を持たないわけですが、それが理由で、口承文学であるユーカラが、綿々と言葉の本来保有する音を伝えてきたのです。ただし、それをメインに書いた歌詞の歌は、文字を持たないと強調することは、差別であるとのクレームで、とりやめました。レコード倫理協会の通達と聞いています。

ガイド:
その歌は「ものおぼえのいい郵便屋さん」ですね。クレームの結果「文字の無い国の郵便屋さん」から変わったタイトルと理解しておりますが、このあたり作詞家としてはかなり悩まれたのでしょうか?

及川:
僕の所属したグループ、六文銭に、放送禁止歌、発禁曲は数曲あったので、またかという気持ちでした。つまり、出る杭として、評価されつつあったのだということです。今、レコード倫理協会の、その当時のメンバーに出てこいといっても、たぶんシラヲキルでしょう。
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