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ネオ演歌 80’s(3ページ目)

紅白歌合戦でしか演歌を聴かない人が多いと思いますが、YMOのメンバー達も絡んでいたネオ演歌特集です。まずは80年代に焦点を当てます。Let's Enka!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

見岳章による美空ひばり

川の流れのように2000
テクノ演歌とは呼べませんが、テクノ出身の作家による150万枚以上売れた大ヒット演歌があります。美空ひばりの「川の流れのように」です。このシングルのオリジナル(ジャケ写はオリジナルも収録した『川の流れのように2000』)は、1989年1月11日発売。約6ヵ月後の6月24日に、美空ひばりは他界されました。

遺作ともなったこの名曲は、秋元康=見岳章による作品です。ニャンギラスの「私は里歌ちゃん」と同じコンビによる作品とは到底思えません。そして、一風堂では土屋昌巳の背後に隠れていた見岳章の才能が、開花した作品でもあります。第31回日本レコード大賞では、作曲賞も受賞しています。また、椿、キム・ヨンジャを始めとして、多くのカヴァーが存在します。

美空ひばりは、他にも教授アレンジ(作詞・作曲は来生えつこ・たかお)の「笑ってよムーンライト」(1983年)というスティーリー・ダン風シングルがあります。演歌の女王的な存在の人ですが、「真っ赤な太陽」等の元々洋楽からの影響が強い和製ポップスを歌った人ですから、違和感がないのでしょう。

鈴木慶一による細川たかし

星屑の街
YMOがらみのテクノ歌謡は多いですが、その次に多いのがたぶんムーンライダーズがらみでしょう。最近第5弾が久々にリリースされた『ムーンライダーズのイイ仕事!』シリーズには収録されていませんが、細川たかしの『星屑の街』(1984年)もムーンライダーズ仕事によるひねくれニューウェイヴ演歌。作詞は売野雅勇ですが、作曲は鈴木慶一です。ジャケの懐かしいペンギンでも分かりますように、サントリービールのCM曲としても使われました。森進一の「New York Story」に対抗してか?英題もちゃんとあって「Stardust In Your Eyes」。しかも中盤は英詞(by ジャネット辻野)になります。

ネオ歌謡の旗手、TAX'81

TAX'81デビュー
レゲエ歌謡でも取り上げたTAX '81の再登場です。『TAX'81デビュー』(1981年)。“ネオ歌謡の旗手”とのキャッチ・コピーがあります。演歌というより、ニューウェイヴな切り口で女性ヴォーカルでムード歌謡に挑戦しています。ゲルニカのデビューよりも1年早い、ある意味先取りの精神は評価に値します。シングルにもなった「哀愁夜曲~センチメンタル・セレナーデ」は、大陸的昭和歌謡リヴァイヴァル。

続編では90年代以降を特集します。

ルーツとしてのエキゾ歌謡

*今回のネオ演歌選曲にご協力いただいた方々にお礼申し上げます。
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