テクノポップ/テクノポップ関連情報

サウンドデザイナー稲見淳さん(4ページ目)

元Controlled Voltage、シンセの使い手、YMOリミキサー、そしてグローバルな活動する稲見淳さんにインタヴュー! 来たる5月21日のKobe Underground FestivalではあのAUTO-MODとも共演。Page 2・3追加(5/11)

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

CAVE Studio

――CAVE Studioはいつ頃、どのような構想で作られたのでしょうか? シンセだけでも60を超える、すごい数の機材が揃っていますね。ここでレコーディングに関わるほとんどの作業ができるのでしょうか?

CAVE Studioは僕のプライベートスタジオであり、またオフィシャル・サイトでもあります。 時期的には95年あたりでしょうか。自分のしたい事はほぼここで完結します。また、01年からは神戸三宮にC.U.E.という名前のスタジオもあり、こちらでも同様の作業が可能です。また、こちらは気の合う人たちとの制作も行っています。とはいえ、最近はハードウェアを使わず、Powerbookのみでやる事も増えているのですが。

――神戸新聞でのインタヴューで「ドイツで考案されたデジタルシンセ“ウェーブテーブル”にかけては、世界有数の使い手とされる」と紹介されていましたが、これはWaldorfの事でしょうか? 数あるシンセでもお気に入りなのすか?

Waldorfもそうなんですが、その前身の80年代後半に倒産してしまった PPGというメーカーが同じくドイツにあったんです。そのPPG社のWave シリーズに搭載されたシンセシスの方式がウェーブテーブルと呼ばれる方式です。自分はフレーズとかからではなく音色から音楽を作るので、時間的に豊かな変化が得られるシンセが好きなんです。あと、これらのメーカーはそもそも音楽的な音がするので好きという事もあります。

ウェーブテーブル方式というのは、オシレーター内にある1周期の波形のサンプル群の読み出しを時間軸で変化させるという独特の方式で、その出音とその個性と存在感、そして謎の部分が多いのですごく惹かれました。ほかには出せない音だし、やはり音作りをしていて楽しい楽器の方がいいので。現在はWaldorfも倒産してしまったのですが、元PPGの技術の人やWadorfの連中 とも音楽仲間なので、今でもいろいろやりとりしています。

ソロ活動

――前作『DELAYED』から約1年ぶり、2005年3月に出た最新ソロ・アルバム 『an impulse of acoustic』ですが、今回も即興演奏を加工するという形をとっておられますね。即興に惹かれる理由とは? また、音にこだわりを感じるのですが、編集の際に気を使われるところは?

ここ何年か、いわゆる打ち込みというものに興味が無いんですよ。予定調和な感じもしますし、同じような演奏をやっていても自分自身で飽きてくるという か。また音楽以外の分野の人とコラボレーションをやるようになってから、表現と いう事自体の共通言語が即興を通してのコンタクトだというか。音楽に関してもスタイルやジャンル、方法論とかは関係なくて、もっと自由に音を出し、表現すれば、という思いです。とはいえ、自分の場合はそれを電子楽器やコンピューター経由で行うわけなので、いかに肉体的、直接的でない方法で豊かな音の表情を見せるかというのがテーマです。これは昔から好きなCabaret Voltaireからも大きな影響がある部分なんですが。

今回のアルバム限らず最近の制作物は全部そうなのですが、MIDI音源での打ち込みみたいなことはしておらず、ほぼオーディオデータの切り貼りで音楽を作 っています。編集に気を使っている部分というのは、特にこれといって無いのですけど、コンピューターを使っているからといって、あまりあれこれやり直しをしないこということでしょうか。

――海外のミュージシャンとも交流が多い稲見さんですが、今回参加されたイタリア人ギタリスト、Luca Formentiniさんとはどうして一緒にすることになったのでしょう?

Lucaとは結構古くて、94年か95年に同じメーリングリストで知り合い、その後、97年リリースのこちらのコンピに参加してもらったり、僕がロンドンに行ったときに、たまたま同時期に彼もイタリアからロンドンに来ていて、そこで初めて会ったり、Lucaの友人で即興系のギタリスト、Roberto Zorzi(Henry Kaiserや元JapanのSteve Jansenとも共演、共作しています)の日本ツアーを僕がまとめたりなどなど、頻繁ではないのですが、何かのタイミングで連絡を取り合ってるんです。で、以前より何か一緒に出来たらと話していて、今回いい機会だったので参加してもらいました。また、04年9月リリースのC.U.E.からのコンピにも参加してもらっています。
  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
  • 7
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます