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レゲエ歌謡対談~Part 2 フォークからホワイトレゲエ(2ページ目)

山本ニューミュージックさんとのレゲエ歌謡対談第2弾! 今回は、日本の70年代レゲエフォークから始まり、元祖アイドル・レゲエ歌謡、そして、ニューウェイヴ時代でのホワイトレゲエの勃興について。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

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元祖アイドル・レゲエ歌謡は?

【先生】所謂、アイドル的な歌謡曲という分野ではどうなのでしょう?

【山本】これはずばり、あいざき進也『愛の舟』(1976年)で決まりですね。一聴したところ普通の青春歌謡曲なのですが、ベース・ラインや女性コーラスの用い方から、確実に「ボブ・マーリィ以降」であることが感じられます。作編曲は筒美京平。さすが粋なことをしやがるぜ、ってところでしょうか。そこそこヒットした曲ですので、ベスト盤には必ず入ってます。

【先生】レゲエに傾倒してというよりも、洋楽のエッセンスを取り入れた作品なのでしょうね、筒美京平の場合。他にもあるのでしょうか、アイドル・レゲエ歌謡。

【山本】筒美先生のレゲエ歌謡が一曲だけしかないとは思えないので、まだあるんでしょうけどね…浅学ながら知らないんですよ。三原じゅん子の筒美作品にもレゲエものがあるらしい、という噂は聞いたのですが、未確認です。情報お待ちしております。

【先生】三原じゅん子のレゲエ歌謡・・・調べてみると、アルバム『トップ・シークレット』(1981年)に収録の「朝がえり」がそうらしいですね。 ニューウェイヴ前夜のレゲエ歌謡はこんなところですかね?

【山本】80年代に突入してしまうのですが、ニューウェイヴとは違う流れでのレゲエ歌謡ということで、一つだけ紹介させてください。 それは…(ドラム・ロール約30秒間)根津甚八のアルバム『火男』(1982年)です。 アルバム一枚に、一曲だけレゲエがあればまあOKか、の歌謡界にあって、ほぼ一枚まるごとレゲエという稀有な作品です。泉谷しげる、BORO、石間秀樹(フラワー・トラヴェリン・バンド)など豪華な作家陣もさることながら、他のレゲエ歌謡とは一線を画す本格的な演奏が素晴らしい。帯に「南フランス録音」と書いてありまして、それがレゲエと何か関係があるのか不思議だったのですが、『ルーツ・ロック・レゲエ』(シンコー・ミュージック社刊)を読んで謎が解けました。南フランスはジャマイカ系の移民が多く、古くからレゲエが盛んだったそうです。根津甚八は本業が役者なので、歌は決して上手くはないのですが、愁いを帯びた唱法は、レイドバックしたレゲエのサウンドとの相性も抜群。このアルバムに関しては、細かく分析しだすとかなり長くなりそうなので、またの機会に。ただ、これだけは言えます。 「レゲエ歌謡必聴盤!!」と。
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