エレクトロポップ3部作
――次のミニアルバム『PreEcho』(2001年)で、一気にポップ度が上がっていますね。帯にも堂々と「TOKYO ELECTRO POP」書いてありますし(笑)。3曲目の「TOKIWO」なんかは、個人的にはかなりつぼに入りました。いい言葉かは別にして、エレクトロクラッシュとかのエレクトロ・リヴァイヴァル的ムーヴメントもまだあまり注目を浴びていなかった時期だったと思いますが。『PreEcho』
01. WEATHER FORECAST
02. TEXT
03. TOKIWO
04. SKY POOL-280601
05. TRANSPARENT
06. WEATHER FORECAST-rain hat mix
07. TEXT-cheap punks need no text mix
08. WEATHER FORECAST-extended
【渡部】2000年前後から、80年代初頭の音楽はリヴァイヴァルしてたような気がします。ので、それほど先進的だとは思わないです。ジャンルのことはいまいち漠然としていてよくわからないですが、エレクトロクラッシュ、という言葉が出来たのが、比較的新しいからそう見えるんじゃないですか? それに、帯はまあ、宣伝用ですから、いろいろ書いてありますね(笑)。「TOKIWO」は光人の作品ですが、制作中から、これはある年齢層には好きな人が多いだろうな、と思ってました(笑)。
――1年以上の合間をおいてリリースされたセカンド・フルアルバム『POPMUSIC』(2003年)は、タイトル通りのキャッチーなポップ・チューンへと加速していますね。特に前半の「listen and repeat」ではNew Order、「duralumin」ではKraftwerkの遺伝子を感じます。同時に、上質のポップミュージックかつエレクトロ・ディスコ・テイストも強くなっていますね。後半ではポップを基調にしながらも、エレクトロニカ的なテイストも加わり、11曲目の「sands」は超メローですね。僕自身かなりのヘビーローテーション・アルバムだったのですが、やはり「ここは、直球でやろう!」と思われたのでしょうか?
『POP MUSIC』
01. listen and repeat
02. handsome boy
03. duralumin
04. magic parasol
05. pop music
06. the sky still seems small
07. shadow of the sun
08. night is over
09. phosphor
10. tsuyu
11. sands
12. eyecontact
13. yume de aimashou
14. storm will clear the air
【鈴木】直球といいますか、「本来三人が持っているポップな要素を出し惜しみするのはやめよう」という話し合いを事前に行ったような記憶があります。当時、僕はOVERROCKETとしてポップなメロのある要素の曲を作りたかったし、タカシとはドラムやベースの音色、フレーズについて共通言語が常にありました。とはいえ、細かな方向性は常に出来上がってくるデモをベースに、足りない要素の曲を付け加えていくというやり方でしたので、それがまとまった結果だと思います。後半のエレクトロニカテイストもよく言われますが、本人達は特にそういう意識はなかったですね。
【渡部】こういう曲を作りたい、こういう形にしたい、っていう欲求、もしくは要望、があって、リズムはこうして、音色はこういうふうにして作ればよいとか、新しいものにトライしているときは、いつも手探りなのが、このときは昔の雰囲気が基礎の構造になってるものも多かったので、ある程度ノウハウがありました。それで余裕があったからか、セールスのこととかは抜きにして、ポップスの構造を持った曲を作るのがとても面白く、ああいうアルバムになったんだと思います。それと、電子音楽のジャンルがどんどん細分化してきて、本来ポップミュージックと違って、自由なフィールドだったはずなのに、制約が増えてしまった気がして、逆説的に「ポップミュージック」と銘打ってしまえば、構造が「ポップス」ならば、どんなものでも許されるかも、とか考えたりしてました。後半のほうのやつは、光人も僕も、わりと昔からやってるようなことですから、別に特別な意識はありませんでしたね。