テクノポップ/テクノポップ関連情報

アーティスト・インタヴュー~Part 26 松前公高クロニクル(6ページ目)

きどりっこ、エキスポ、コンスタンス・タワーズ、SPACE PONCHなどのグループ活動、そしてソロ、リミキサー、アレンジャーとしての松前公高さんの歴史を探る、壮大なインタヴュー企画がここに完成!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

リミックス&カヴァー作品

――松前さんは、リミキサー仕事も多くされていますが、その中でもテレックスの日本独自編集盤『IS RELEASE A HUMOUR?~WE LOVE TELEX~』(1994年)での「Moskow Diskow」の松前さんのリミックスは、大好きです。原曲もすばらしいですが、テレックスのキッチュな面を生かしながらもどこかクレイジーな仕上げは、ちょうど今クラブとかでかかっても全く違和感のないと思います。テレックスは、リアルタイムで聴いていたんですか?

そうですね。ファースト・アルバムは発売の時に聴きました。ちょうどあのリミックスは時期的にリミックスってものがもう完全に創作の領域になっていた時期なので、そんなものはいらないから原曲そっくりに作ってやろうと思いました(笑)。シンセベースにDX7の固い音を使ったのとカートゥーンっぽいSEをちりばめる以外は原曲重視で再構築しています。

――クラフトワークのトリビュート『MUSIQUE NON STOP』(1998年)では、普通はやらない『KRAFTWERK 2』からの「ATEM」と「HARMONIKA」をカヴァーしているのが、とても松前さんらしいです(笑)。あえて、選んだ理由は?

わははは。今度は「おもいっきり原曲から離れたものを作ってやろう」と。だって、名曲ばかりだし、クラフトワークはあまりにも偉大だから、同じ「シンセで打ち込み」というコンセプトで似せた事やったって、ファンとしては嬉しくないし、オリジナルの方がいいって事になったりするし。越える自信もないですよ。他の方のバンドものとかはすごく違うアプローチで意義があるし、面白いですよね。でも僕はモロに影響受けてる立場だから。ならば、「アテム」と「ハーモニカ」で。これ「息」の音が入ってるとか、ハーモニカの音列があればもうそれだけでトリビュートになるでしょ?(笑)。最もゆったりした退屈とも言える曲を、忙しくゆったりしてない曲にしよう、と思いました。結局、エキスポとかわらず、逆をやりたい、いたずらしたい、って気持ちがいつまでたっても抜けない...(笑)

――ムーンライダーズの名曲をCDシングル化した『9月の海はクラゲの海 E.P.』(1995年)でも、COSMIC TRAVELER MIXをされていますね。Andy FalconerのDEEP SEE MIXといいリミキサーの微妙な個性が出ているリミックスだと思いますが、ムーンライダーズからは何か注文はあったのでしょうか?

いえ、なにもありませんでした。これもAndy Falconerのミックスがだいたいどういうものかわかってたので、あえて原曲重視で、あとはこのころから「宇宙空間の音から入って音楽がはじまり宇宙空間へ消えていく」という構成だけのコンセプトを様々なリミックスやアレンジで展開しようと思っていたんです。ちょうど宇宙を旅していて、星が近づいてきて離れていくイヴェントが1曲として存在し、あとはひたすら宇宙空間を旅する感じ。これなら自分が関わったどのアーティストの曲でも、大メドレーに再編集出来る様になります。このコンセプトは機会がある度に取り入れていて、HANAYOや種ともこさんと一緒に仕事をしたアレンジ、最近だと千葉レーダーも少しだけそういう感じを入れています。
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