テクノポップ/近未来型アイドル

歌う女優たち~Part 6 インリン・オブ・ジョイトイ(2ページ目)

(元)レースクイーン、モデル、女優そして革命家として活動するエロテロ戦士、インリンをヴォーカリストとしてフィーチャーしたユーラシア・テクノ的ユニット、JOYTOY・・・『愚民の恋』で戦慄のデビュー!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

JOYTOYとは、インリン(ヴォーカル)、ヒラオカノフスキー・クラタチェンコ(プロデューサー&コンポーザー)、エレキハチマキの坂井壱郎(マニピュレーター)からなる3人組です。インリンは1978年2月15日生まれとあるが、公式サイトによると年齢詐称しているらしい。ヒラオカノフスキー・クラタチェンコは、インリンの写真集とかも撮っている写真家。ちなみにインリンは初代JOYTOYではなく、歴代のJOYTOY戦士には、美里真里、小松千春、寺尾友美がいます。

『YMO REMIXES TECHNOPOLIS 2000-01』(1999年)では、TMVG(常盤響+水本アキラ)&坂井壱郎という名義で「Nice Age」のリミックスをやっています。

ちなみに、アルバム『electro-cute』(1999年)のようにエレキハチマキのジャケは、常盤響によるものが多い。

エレキハチマキ

初回限定盤には、ジャケのボックス・カヴァーにPV+ムーヴィー収録のDVDとミニ写真集『愚』が付いてきます。

JOYTOYの公式ページに行くと判りますが、ロシアが溢れている。まるで、日本を含めた旧資本主義国の文明を拒絶するような。最初は、どっかの変な奴が勝手に作ったとても手の込んだインリン・ファンサイトかと思いました。

自らJOYTOY系と名乗り、既成ジャンルに入れられる事を拒否しています。あえて、分類すれば、ユーラシアン・テクノ。基本はロシア、それも革命の香りがするロシアですが、中華圏、中近東圏などのユーラシア大陸全体へと壮大に広がっています。古い曲になると、その原曲は1984年に創作されている事からも、20年近くもあたためてきた構想のようである。彼らの政治的スタンスに共鳴するかは個人の判断に任せるとして、唯一無二な出来上がりとなっています。

01. ПРАВДАの朝(プラーヴダの朝)
「ブラーウダ」ってロシアの新聞ですね。真実と言う意味。クラシカルなインストから始まる。

02. Get Some Real Fun
DVDにはPVも収録されている、ちょっと無国籍ハウス風ユーロビート。

03. 莫愁1922-1938
基本的に中華風歌謡曲のテイストをもった大陸系バラード。

04. парад(パラート)
「パラート」ってパレードの意味ですね。プレパラートとは関係ないです。ちょっとファンキーハウス。

05. 黒華満開
ダークなヘヴィー・ロック系歌謡。

06. 赤のсолитер(赤のソリテル)
収録曲のなかでは一番古く創作された曲。「солитер」って訳してみると、サナダムシ。

07. 遥か愚民を離れて
このタイプの歌は、うまくない方がかえって味が出る脱力系ファンク。政治的メッセージも強いですね。

08. Get Some Real Fun(爆心地のエロテロMIX)
投げやりにも聞こえるインリンの台詞が増えている。ちょっと表現に困るんですが、こちらのミックスの方が暴力的でいい。

09. 組曲「T-34(テー・トリーツァチ チェティーレ)」~映画「вопреки」より
こんな映画が本当にあるのかは知らないけど、エンディングは、収録曲「莫愁1922-1938」などのフレーズも挿入されている19分以上延々と続く壮大なテクノ組曲。これが一番好きかも。でも、インリンは歌っていませんが。

JOYTOY"愚民の恋"Special Page(試聴ができるよ)
JOYTOY 2000(こんな公式サイトってありなのか?)
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