名マッシュ・アップ?
何百と存在するであろうバスタード・ポップの中でも、名作とされるマッシュ・アップが幾つかあります。その中でも、バスタードポップ・ナイトでもキラー・チューンとなる比較的有名なものを3つ紹介します。
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■A Stroke Of Genius(又はGenie-us)
Freelance Hellraiserが、クリスティーナ・アギレラの「Genie In A Bottle」とストロークス(The Strokes)の「Hard To Explain」をマッシュ・アップ。「Genie In A Bottle」はビルボード・チャートで一位に輝いたクリスティーナの1999年のデビュー・シングル。「Hard To Explain」は、アルバム『Is This It』(2001年)にも収録されている、ストロークスのシングル。オムニバス『Yes New York』にも参加した(違う曲ですが)、このところ、活気のあるNYシーンを牽引するガレージ系バンド(ガレージの定義はさまざまなんで、軽く考えてください)ですが、彼らの曲の中でもポップさが光る。
オリジナルの「Hard To Explain」は当然、渋い男性の声ですが、これをR&Bに歌姫クリスティーナがガレージ・サウンドに乗せて歌うという妄想の実現。誉めすぎかもしれませんが、クリスティーナはより魅力的だし、ストロークスの曲のパワーも引き出されています。ストロークス自身は、以前紹介したVitamin Cのマッシュ・アップ「Last Nite」を許可しているくらいなので、理解のある人たちのようですが、ストロークスのシンガーであるジュリアンはこのマッシュ・アップをあまり気に入らなかったので、敢えてプロモートをしなかったとの事。う~ん、「Last Nite」より出来がいいと思いますが。
不思議なのが、クリスティーナ側のリアクション。クリスティーナのレーベルは、ロンドンのラジオ局に「A Stroke Of Genius」のエアプレイを中止するように命令・・・しかし・・・このマッシュ・アップで才能を認められたのか?Freelance Hellraiserは、クリスティーナの2003年のシングル『Fighter』でリミックスを手がける。リチャードXといい、マッシュ・アップはメジャーへの登竜門になっています。しかし、「A Stroke Of Genius」の正式リリースをミノーグ姉妹のパターンで望みます。
■Smell Like Booty
2 many dj'sとして活躍中のSoulwaxが、お気に入りと思えるデスティニーズ・チャイルドの「Bootylicious」とニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」をマッシュ・アップ。「Booty」という言葉は、Bootとのダブル・ミーニングなんでしょう。アメリカのFM局DJがこの曲をかけたところ、ニルヴァーナのファンから散々罵声を浴びせられました。ニルヴァーナは、コアのファンでは神聖化されすぎているのでしょう。ユーモアを解しない、ニルヴァーナ原理主義状態。
しかしながら、デスティニーズ・チャイルドのファンからの苦情は無し(彼らのファンが聴くような局でなかっただけなのかも)。この「Smells Like Teen Spirit」は、マッシュ・アップのネタとしては愛されているようです。これ以外にも、ミッシー・エリオット (Missy Elliot)の「Get Ur Freak On」と合体した「Smells Like Missy Elliott」やフィシャースプーナー(Fischerspooner)の「Emerge」と合体した「Smells Like Emerge」(安直なタイトル)などのマッシュ・アップがあります。
■Love Will Freak Us
GAPでマドンナと共演のミッシー・エリオットもネタとして愛されています。オーストラリアのDsico(なんて読むんだろう、Discoの変形のようですね)がミッシーの「Get Ur Freak On」とJoy Divisionの名曲「Love Will Tear Us Apart」をマッシュ・アップ。何故か、「これから、皆で、めちゃくちゃ踊って、騒ごう騒ごう」との日本男性の声から始まります。これもどこかからサンプリングしたんですかね? この一見関連性がない2曲は、なんとPVマッシュ・アップまで製作されています。本当にうまく作っています。他、ミッシーがジョージ・マイケルの「Faith」でラップする「Get Your Faith On」(Kurtis Rushがマッシュ・アップ)というのもあります。