テクノポップ/YMO関連

YMOの遺伝子~第1回(2ページ目)

祝YMO再発ということで、YMOの歴史的作品を振り返りつつ、YMOのカヴァーをご紹介する企画です。曲だけじゃなくジャケのカヴァー(?)もね。先ずは、記念すべきデビュー・アルバムから。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

では、ファースト・アルバムからのカヴァー数では断トツの『Cosmic Surfin'』のカヴァーを幾つか紹介。

『Cosmic Surfin'』は、元々YMOファースト・アルバムの半年ほど前に出た細野晴臣・鈴木茂・山下達郎のアルバム『Pacific』(1978年)に収録されています。このリゾート的なテーマのシリーズ・アルバムに於ける『Pacific』の細野晴臣ヴァージョンは、既にYMOの3人によって制作されており、プレYMO的テクノ・ディスコに仕上がっています。このアルバムは現在『Pacific/エーゲ海』として2-in-1アルバムとして再発されています。なお、同じ音源の『Cosmic Surfin'』はポリフォニックス名義で1978年にリリースされています。テストマーケットだったんでしょうか?

その『Cosmic Surfin'』は、中学生テクノポップ・バンド、Cosmic Inventionがカヴァーしています。シングル『プラトニック学園』(1982年)のB面として、近田春夫が作詞。イメージとしては、テクノな「のっけて、のっけて、サーフィン」です。その後、メンバーの森岡みまは七福神というバンドで活動し、井上ヨシマサは多くのアイドルを手がける売れっ子作曲家となりました。ジャケ写からリンクしている『テクノ歌謡コレクションVictor編~コズミック・サーフィン』でもCD化され収録されています。

電気グルーヴのシングル『MUD EBIS (800YEN MIX) 』(1991年)には、『Cosmic Surfin' - Live at Automatic theatre L.A.』が収録されています。ポール・ハードキャッスルの『19』っぽく始まる。ギターが前面に出ているロサンジェルスの自動(児童)会館でのライヴっぽいカヴァーです。

電気グルーヴのアルバム『UFO』(1991年)に収録の『Cosmic Surfin' -ecstacy bath room mix-』は、風呂場での自慰シーンをイメージした脱力系カヴァーです。

とても宇宙人なジャケが印象的なSpoozysのアルバム『Spoozys』(2000年)では、『Cosmic Surfin'』のエレキなネオ・ニューウェイヴ・カヴァーが聴けます。Spoozysのリーダーの松江潤は、All That Fuzzというユニットでも『Nice Age』をカヴァーしています。

OMYの細江慎治プロデュースにより、笹キミヒトとZunba小林(現Cyborg '80s)からなる宇宙ヤングは1998年にアルバム『宇宙ヤング』でデビュー。『Cosmic Surfin'』は、『コスミック番長』としてスーパー超能力学園ヒーローに捧げる歌としてよみがえっています。

何度も出てきていますが、POP ACADEMY RECORDSからリリースされた限定発売いまどきテクノなオムニバス『FUTURETRON SAMPLER』(2001年)には、よりハイパーになったヴァージョン『コスミック番長-ノストラダムスMIX-』を収録。ライヴでは、番長隊が「番長!」と歌うだけのために登場した。Yセツ王の『THE END OF TISSUE』も収録されているよ。
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