ジャケ買いのジャケです。ジャケットの略称です。日本では、よくジャケット(jacket)と言いますが、間違った英語ではないにしても、普通英語圏の人はスリーヴ(sleeve)とかカヴァー(cover)と言います。スリーヴ・デザインとかカヴァー・アートとか。レコード・コレクターにとってジャケは重要です。盤のコンディションと同じくらい、ジャケのコンディションは大事です。中古を売るつもりなら、ジャケは大切にしましょう。日本盤の帯とかステッカーは捨てないで下さいね。レンタル屋さんも、はがせないシールとか張らないで下さい。
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さて、今回は日本のアーティストによる「ロシア構成主義」の影響が覗えるジャケを特集します。英語では「RUSSIAN CONSTRUCTIVISM」、ドイツ語では「RUSSISCHER KONSTRUKTIVISMUS」。1910年頃から1920年代末にかけて起こった「ロシア・アヴァンギャルド」(写真右は、海野弘・著『ロシア・アヴァンギャルドのデザイン』)と呼ばれる芸術運動の中心的芸術様式です。
キュービズム(立体主義)、イタリア未来派、ダダイズム運動、バウハウス(写真右は、『bauhaus source book』という本)、表現主義(⇔印象主義)、アール・デコ等とも繋がっています。構成主義は、もとはガディンスキーが提唱した非具象的表現で、四角、三角、同心円等の幾何学模様を特徴としているものが多いです。ロシア革命が1917年ですから、ロシアにおける芸術の革命と考えてもいいでしょう。
YMO『テクノデリック』(1981年)
セルフタイトルの日本盤ファーストは、もろアール・デコでしたが、これはかなり構成主義的。日本を代表するグラフィック・デザイナーである奥村靫正は、YMOオリジナル・アルバムとしては、この『テクノデリック』と『BGM』のジャケをデザインしました。アナログは、初回プレスの「メンバーの写真」ヴァージョンと「お姉さん」ヴァージョンがあります。最初は、大人気の3人組の顔写真という要望をクリアして、「お姉さん」ヴァージョンに差し替えるという、当初からの計画だったようです。
なお、『BGM』のジャケが表紙となっている誠文堂新光社から出ている『アイデア289』では、YMO関係を始めとした奥村靫正のTHE STUDIO TOKYO JAPANの作品が集められています。