小室哲哉帝国の牙城を崩し、宇多田ヒカル・倉木麻衣等の和製R&B系とも張り合って、同じASAYAN出の鈴木あみをものともせず、『LOVEマシーン』の大ブレイク以降いつ下降線を辿るのだろうと思いつつも、モー娘。は未だに頑張ってますね。シャ乱Qでヒット曲を出しながらも、それほど期待されていたように思えないつんくも、名プロデューサーとしての地位を確立してしまいました。
僕の友達、(ちょっと暗いテクノ系が好きな)推定年齢35歳のIT系会社員のYさんも、モー娘。とその仲間達のリリースを躊躇しつつ買いつづけています。その秘密を強引に明かしてみたいと思います。
■つんくのテクノ歌謡体質
つんくのSWTICH2000年3月号(特集『さよなら歌謡曲』)におけるイモ欽トリオやスターボーに対する言及から、つんくは体質的にテクノ歌謡な人だと推測します。これが、メジャーなのにB級な感じがする源では?
■楽しめる引用
『LOVEマシーン』における『ヴィーナス』(ユーロビート3人娘BananaramaがShocking Blueのオリジナルをカヴァー)や『恋のダンスサイト』における『ジンギスカン』、『愛車ローンで』(アルバム『3rd-LOVEパラダイス-』に収録)におけるThe Knackの『マイ・シャローナ』等は、あからさまな引用の例ですね。これはどこから頂いたんだという奥歯に物が挟まったような引用もあり、音楽マニアの話のネタとして楽しめます。
■マニアックなサポート陣
やはり、『LOVEマシーン』と『恋のダンスサイト』で起用されたミラーボール職人ダンス☆マンが、ディスコ歌謡仕掛けのアレンジで王道的お仕事をしています。その割りに、ダンス☆マン自体のレコードは売れてるように思えませんが。
個人的には、石川・加護コンビが加わってからの新生タンポポは、モータウン+フィル・スペクター系正統派ガールポップとしてそのクオリティーの高さから断然支持したいです。楽曲と共にコスチュームにもこだわるその姿勢には、Compact Organisationの歌姫、Mari Wilsonを感じさせます。
『乙女パスタに感動』(VANDA編『ソフトロックin JAPAN』でも紹介)で起用されたのは、永井ルイ。Pilot、ELOを継承するモダンポップ職人による60年代的ガールポップ歌謡は、モー娘。系の中では一番光っています。同じ路線の『恋をしちゃいました』では、ポケモンやデジモンのアニソン仕事をしている渡部チェルが激いい仕事。
DJ仕様アナログ12インチ盤に収録(後に『プッチベスト』にも収録)の『恋のダンスサイト(PANDART SASANOOOHA Remix)』は、大阪のDJユニット、pandart sasanooohaによる過激な破壊的リミックス。リミックスの人選という意味では、浜崎あゆみ(pandart sasanooohaも『vogue』をリミックス)に、LaB LIFeとかThe Orb仕事もあり、リミックス女王としての軍配が上がりますが。