21世紀に入ってから、スピード感、疾走感で注目を集めているのがドラゴンフォース。ただ速いだけでなく、メロディアスな部分も持ち合わせるという“メロディック・スピード・メタル”のシーンから登場したドラゴンフォースだが、その中でも特異な存在感を放っているバンドだ。

メロディアスなのに超高速


インヒューマン・ランペイジ
世界から注目を集めた前作『インヒューマン・ランペイジ』
ドラゴンフォースを聴けば、誰もがそのテンポの速さに圧倒される。以前、本人たちも“速いものしかやるつもりはない”と言っていたが、メロディック・スピード・メタル勢の中でも相当な速さだ。その中に速弾きのギターソロやドラムフィルが突っ込んでくるから、本当に人間がプレイしているのか疑わしくなるほどだ。彼らのやっていることを譜面にしたら、細かい音符がびっしりで、五線紙が真っ黒になってしまうだろう。

それでいて、単に速いだけでなくメロディアスな部分もしっかり持っているというのもすごいところだ。ヴォーカルのメロディやギターのリフ、ソロなどは、哀愁漂う北欧系のへヴィメタルのような響きを持っている。言ってみれば、北欧メタルのテープを倍速で再生したようなものなのだ。しかも、ライヴではステージ上を飛び回りながらプレイしているのだから、その超ハイテクぶりにも驚いてしまう。

そんなドラゴンフォースのサウンドはデビュー当時から話題になっていたが、やはり世界的に注目を集めたのは前作の『インヒューマン・ランペイジ』だ。メロディもスピードもとことん追求したサウンドはリスナーを圧倒した。とくにスピードはすさまじいと言えるほど。80年代から90年代にかけて、スラッシュやスピードメタルと呼ばれるサウンドが出現してきたとき、あまりに高速だとコミカルに聴こえて笑ってしまいそうになったものだが、ドラゴンフォースはそれをさらに超越していた。メロディアスな部分があったから、スピードがよけいに引き立ったのだろう。笑うというよりは、あっけに取られてしまうようなサウンド。もちろん、“ただ速いだけ”という否定派もいるだろうし、速さならもっとすごいバンドもいるだろう。しかしこのメロディやフレーズでここまで速いというのは、それだけでもかなりすごい。

そんなドラゴンフォースが、2年半ぶりに発表したのが『ウルトラ・ビートダウン』だ。