日本にエレキブームを巻き起こしたザ・ベンチャーズ
プレスリーやチャック・ベリーが創り出し、広めたロックンロールが定着した後、60年代から70年代にかけて、日本ではエレキブームが巻き起こった。当時、“エレキを持つと不良になる”などと言って、ロックやエレキギターを毛嫌いした大人たちもいたようだが、とにかく若者の間ではエレキギターが爆発的な人気で、社会現象となっていたようだ。かの加山雄三氏の“若大将シリーズ”も、1965年の6作目では「エレキの若大将」というタイトルでエレキブームを取り上げていた。当時の日本のトップギタリスト、寺内タケシ氏も出演したこの映画では、“勝ち抜きエレキ合戦”を戦うというストーリーで、当時の熱狂ぶりが描かれている。
そのエレキブームを日本に起こしたのは、ザ・ベンチャーズだ。50年代の終わりに結成されたベンチャーズは、何度も来日公演を行なって、日本で高い人気を獲得していた。エレキギターを前面に出し、インストゥルメンタルを主体とするユニークなスタイルは、当時の日本の若者たちにとって斬新だっただろう。それまではあくまで伴奏だったエレキギターが完全な主役となったバンドの登場により、楽器のカッコよさがストレートに伝わって、エレキブームに火がついたのだろう。
ベンチャーズは、日本では今でも人気が高い。特徴的なあのテケテケサウンドが強烈なインパクトを持っていたこともそうだが、明るく軽快なサウンドの中に、ちょっとした哀愁、泣きの要素を隠し持ったメロディラインが、日本人の琴線に触れたのだろう。実はベンチャーズの楽曲に日本語の歌詞をつけた歌謡曲も、数多くヒットしている。渚ゆう子の「京都の恋」や欧陽菲菲の「雨の御堂筋」がそれである。ベンチャーズのサウンドは、昭和の歌謡曲にもマッチするサウンドだったのだ。
日本でのエレキブームの火元となったライヴがよみがえる『ザ・ベンチャーズ コンプリート・ライヴ・イン・ジャパン’65』 |
【関連リンク】
エルヴィス・プレスリー公式サイト(英語)
チャック・ベリー公式サイト(英語)
ザ・ベンチャーズ公式サイト(英語)