レッド・ツェッペリンに続き、パンクロッカーたちの教祖、セックス・ピストルズも活動を再開し始めているようだ。デビューアルバム『勝手にしやがれ!!』が、発売30周年を記念して正式に再発されるというニュースに続き、今度は再結成ライヴを行なうという。今回は、にわかに騒がしくなってきたセックス・ピストルズの周辺を探ってみよう。
ニューヨークからロンドンへ、そして火がついたパンク
セックス・ピストルズは、70年代後半にイギリスから始まって世界を席捲したパンクムーブメントの立役者だ。デビューは1976年。過激なルックス、攻撃的なサウンド、そして反抗に満ちた歌詞で一躍注目を集めたこのバンドの登場は、ロック界に大きな衝撃を与えた。
ここからパンクムーブメントが広がった、ピストルズの衝撃的な『勝手にしやがれ!!』 オリジナルは77年発売 |
過激で衝撃的だったピストルズのデビュー
ピストルズのデビューは本当に衝撃的だった。ニューヨークパンクのシーンは音楽的な反抗から生まれたものとされているが、ピストルズは社会や政治的な反抗を武器に、ロンドンのパンクシーンをリードしていった。
その存在はとにかく過激だった。政治や社会、ときには王室までを対象に攻撃した歌詞はその代表だが、それ以外にもあらゆる面で反抗に満ちていた。短く、シンプルを極めた構成の楽曲は、当時流行っていたプログレッシブロックなどの華美で冗長な音楽への反抗だろうし、ロックといえばロングヘアという風潮への反抗が、短く切り詰めてツンと立たせたヘアスタイルだ。トレードマークの安全ピンも当時のファッションに対する反抗と言えるだろう。とにかく、世の中のあらゆるものに対する反抗し、攻撃的な姿勢を持っていたのがピストルズだった。
あまりに過激なため、デビューシングルをリリースしたEMIからはその後すぐに契約を破棄されたし、その後もいくつかのレーベルから契約を破棄されたといわれている。さらには英国公安当局から危険分子として監視されていたというウワサもある。とにかく色々な意味で関心を集めた存在だったのだ。
そして77年の秋、ちょうど今から30年前にリリースされたのが、アルバム『勝手にしやがれ!!』だ。デビューシングルの「アナーキー・イン・ザ・UK」を初め、イギリス国歌をタイトルにした「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」、そして契約破棄したEMIを揶揄した「拝啓EMI殿」など、巨大なものに対して挑戦状を叩きつけるような内容になっている。そして、ヴォーカルもギターもリズムも、すべてが生々しく荒々しい。30年前のアルバムだが、今聴いても衝撃的だ。
次のページでは、ピストルズのその後、そして再結成について紹介。