パープルとツェッペリン
現在も活動中のディープ・パープル、その最新のライヴ盤『ライヴ・アット・モントルー2006』。2006年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの模様が収録されている。 |
とくに、スパニッシュの香りが憂いも感じさせるリッチー・ブラックモアのギターと、ブルージーでジャジーなジョン・ロードのオルガンを対等に前に出し、バロック音楽も取り入れたメロディアスなディープ・パープルのスタイルは多くのフォロワーを生み出し、その後のハードロック/ヘヴィメタルの基本的なスタイルのひとつとなっている。
現在までの長い活動期間中に激しくメンバーが入れ替わっているのも特徴で、パープルファミリーと呼ばれる一大人脈を形成している。そこからディープ・パープルの続編のようなレインボーやホワイトスネイクなどのバンドが生まれているし、リッチーのギターを極限までテクニカルにしたようなイングウェイ・マルムスティーンなど、フォロワーも多い。
レッド・ツェッペリンの26の名曲を、2枚のCDに収めたベストアルバム『ベスト・オブ・レッド・ツェッペリン』。リマスターにより音質も向上している。 |
あのクイーンもレッド・ツェッペリンに影響を受けたハードロックバンドとして有名だが、スタイルはかなり違う印象だ。唯一、ツェッペリンスタイルを丸写ししたようなキングダム・カムというバンドが一時期話題を呼んだが、あまりに似すぎていたため批判も浴びてしまった。
ヘヴィメタルの元祖ブラック・サバス
ブラック・サバスを知るには絶好のベスト盤『ベスト・オブ・ブラック・サバス』。デビューから18年のサバスの代表的ナンバーを4枚のCDに収録。サバス・スタイルがよくわかる。 |
メンバーの入れ替わりも多く、ヴォーカルだけを見ても元ディープ・パープルのイアン・ギランやグレン・ヒューズ、レインボーのロニー・ジェイムズ・ディオなど様々なメンバーが参加しているが、やはり印象が強烈なのは初代ヴォーカリストのオジー・オズボーンだろう。その後ソロでもライヴでは「アイアン・マン」などのサバス時代の曲をやり続けているし、コウモリをかじって見せるなど、そのイメージを踏襲していて、今もメタルゴッドとして君臨し続けている。
その他のビッグネーム
そのほか、ハードロック/ヘヴィメタル界のビッグネームはたくさんいる。ロックンロールやブルースを基調とするシンプルなハードロックを身上としたバンドとしては、エアロスミスやKISSなどがそうだし、80年代後半にブレイクしたガンズ・アンド・ローゼズもその流れをくんでいる。また80年前後のアメリカでは、明るくポップで聴きやすいハードロックが流行った。きめ細かくプロデュースされ、商業的な計算もされているという点で「産業ロック」などと揶揄されることもあったが、アメリカンハードというジャンルを形成してシーンを盛り上げた。TOTOやジャーニー、ボストンなどがこれに含まれる。また西海岸を中心とした80年代のLAメタルブームからは、モトリー・クルー、ボン・ジョヴィなどのスターが生まれている。フィンランドやスウェーデンなどで発展した北欧メタルと呼ばれる一派もいる。ヨーロッパやTNT、ストラトヴァリウスといったバンドがその代表だ。叙情的なメロディを主体として、中世的な独特の世界観、そして様式美を重視するサウンドが特徴だ。
ハードロック/ヘヴィメタルは今でも世界中で人気があるが、そのルーツを探ってみるのも面白い。ビッグネームの作品は、どれもオリジナリティがあるし、今聴いても文句なくカッコいいと思うはずだ。
【関連リンク】
ディープ・パープルの公式サイト(英語)
レッド・ツェッペリンの公式サイト(英語)
ブラック・サバスの公式サイト(英語)