1990年代の2曲 「遠い雲」 と 「高い空」
■ スキップカウズ 「遠い雲」 作詞:今泉泰幸 作曲:遠藤肇SKIP COWS 『バイソン(☆)』 いつまでも蒼さを失わない「背筋」やメランコリックな「赤い手」、イジワルな視点の「イイヤツ」など今もセットリストに残る楽曲が揃いも揃った全12曲入り |
オフィシャル・サイトのディスコグラフィー・ページに、この曲が収録されたメジャー・デビュー・アルバム 『バイソン(☆)』 の全曲解説があり「遠い雲」が生まれた経緯、見舞いに行った時のやりきれない心境等が記されています。
私はメジャー・デビュー時のハイライトとなったLIVEを見ましたが、この曲が披露された時に、ヴォーカリスト イマヤス(今泉泰幸)が感極まってちょっとつまってしまった一瞬が今でも忘れられません。
バンドはその後、メジャーを離れたり事務所と切れたりして悪戦苦闘しながらも活動中。まさに「君の残した歌を(「遠い雲」歌詞より)」歌い続けているのです。
■ 真心ブラザーズ 「高い空」 作詞/作曲:倉持陽一
真心ブラザーズ 『KING OF ROCK』 スカパラ(4)、Great3(10)、フィッシュマンズ(12)にスーパー・ジャンキー・モンキー(13)ほかという多彩で豪華なリズム隊の使い分けも聴き所 |
その2曲目に収録されているのがヴォーカリスト倉持陽一のペンによる「高い空」。主人公は、どんな関係なのかは公にされていないが「君」と呼べる間柄の人のお葬式でお酒を飲んで笑い、火葬場で天高く昇っていく「君の煙」を見上げている。
そんなごく普通のお葬式の1シーンをただ歌い飛ばす、ただただそれだけなのに見事に追悼の意が伝わってくるのです。忙しい日々を漫然とこなしてしまっていて「空が高い」という事すら忘れてしまいがちな、そんな人にも聴いていただきたい名曲です。
私事で恐縮だが、このアルバムを聴いたのは丁度入院している時でした。CDから溢れ出す闇雲なパワーが聴いているこちらにも伝播(でんぱ)してきて、モリモリと元気が湧いてきたことを今も昨日のことのように思い出します。退院して病院から街に出て最初に気付いたのは、緑の香りでしたっけ。
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