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きいてよ「素敵なメロディー」~SUGAR BABE

若き日の山下達郎や大貫妙子が在籍した幻のグループ、SUGAR BABE。大滝詠一のプロデュースで発売された「日本のポップス名盤」が30周年記念盤として登場しました!

執筆者:常木 晴亮

「ダウンタウンへくりだそう♪」というリフレインが印象的な曲がフジテレビ「オレたちひょうきん族」のエンディングで流れていたのを懐かしく覚えている方も多いのではないでしょうか。これがSUGAR BABE唯一のアルバム『SONGS』収録曲「DOWN TOWN」の、EPOによるカヴァー・ヴァージョンだったのです。

「悲運のグループ」だったSUGAR BABE、「幻の名盤」だった『SONGS』

SONGS
SUGAR BABE 『SONGS』
山下達郎、大貫妙子、村松邦男他が在籍したグループSUGAR BABEの、唯一のアルバム
このアルバムやグループそのものが「幻の」というような枕詞で紹介されるのには、幾つかの理由があります。

『SONGS』はインディーズ・レーベルの元祖ともいえるエレック・レコードより1975年に発売されましたが、その年の内に会社が倒産。本作ももちろん廃盤になってしまい、グループも翌年解散してしまいます。

バンド・リーダーだった山下達郎が1980年にヒット曲「ライド・オン・タイム」を放ち、その翌年、アルバムの共同プロデューサーだった大滝詠一がアルバム『A LONG VACATION』で大ブレイクしましたが、まだSUGAR BABEまでさかのぼって聴こうという人は少なく、1986年に1度CD化されるも、それも早々に廃盤になってしまいます。

SUGAR BABEに正当な評価がされ、『SONGS』に評価に見合うだけのニーズがようやく生まれた90年代初頭、このアルバムは入手がとても難しいレア・アイテムになってしまっていたのでした。中古レコード店の壁の、店主に頼まないと触れもしないような場所に、信じられないような値段を付けられて鎮座するレコード=「壁レコ」として飾られているのを眺めて音を想像する、そういう作品だったのです。

CDショップに行けばこのアルバムが必ず買える、という状況になる以前のSUGAR BABEは、「悲運の」というニュアンスで語られるグループの代表格だったのです。

「幻の名盤」から「日本のポップス名盤」へ

音が聴けない、グループも無いのでLIVEも見る事が出来ないという飢餓状態が長く続く中、日本の音楽シーンは成熟しました。渋谷系ムーブメント等の後押しもあって、洋楽と邦楽の区別や時系列にとらわれる事の無いリスナーも増えた1994年、オリジナル発売からほぼ20年の時を経てようやく再発売された『SONGS』は、オリコンチャート最高3位という再発盤としては異例の大ヒットを記録しました。

コンサートのオープニング用として作られ、何か新しい事が始まろうとする時のワクワクする気持ちを、その素晴らしいイントロや歌、楽器各パートの展開で溢れさせる「SHOW」。見に行ったLIVEがこんな素敵な曲で幕を開けたらきっと泣いてしまいます。

多くの人がEPOヴァージョンを聴いて想像を膨らませていた「DOWN TOWN」は、その後もカヴァーされ続け、彼らの代表曲となりました。

旅立つ女性の不安と希望が交錯する「蜃気楼の街」、山下達郎と大貫妙子のデュエットによるタイトル通りの名曲「すてきなメロディー」等、捨て曲無しの全11曲が普通に聴けるようになって初めて『SONGS』は「幻の名盤」から「日本のポップス名盤」へと昇華出来たのです。


→次のページ では3種の『SONGS』や新旧関連盤等をご紹介!
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