競馬/競馬関連情報

あなたのそして私の夢が…杉本清(2ページ目)

あの「菊の季節にサクラが満開~!」など数多くの有名なフレーズを生み出した競馬実況中継職人、杉本清。もともとは「アナウンサーになるつもりなどサラサラなかった」そうです。

執筆者:十時 龍一

そしてお決まりのパターンが始まる。毎週土日、実況する先輩アナにくっついて競馬場へ通いつめていた。面白いもので、そのうち「どうせ競馬場にいるなら、あいつに仕事させろ」ということになってくる。最初は連絡業務を担当させられるが、ある日突然パドック解説のアナ役に指名される。なんとかこなしている間に番組枠が広がっていき、今度は「そろそろ実況の練習をしろ」との命令。杉本氏と競馬の関係はさらにディープになっていった。

競馬実況アナの必修項目に“勝負服の塗り絵”というものがある。レースの出走馬一頭一頭の勝負服を調べ、出馬表に色鉛筆で模様を書き込んでいく。自分で塗り絵をすることで、勝負服だけで馬が判別できるようにするのだ。どんなベテランでもこの作業は欠かさずやっているそうだ。これがなかなかシンドい作業らしいが、それを全て暗記し、条件反射的に馬名が呼べるようになって、初めて一人前の競馬実況アナとして認められるのだ。

もちろん杉本氏もそんな過程を踏んで、実況アナとしての道を一歩一歩すすんでいった。この道に入ってしまったのは、偶然の積み重ねという感じがしないでもない。しかし、そこから道を極め『競馬実況=杉本清』の名声を得たのは、人柄と隠れた努力の賜物なのだろう。自分を評して『ひとつのことを時間をかけて自分のものにし、それを守っていく不器用なタイプ』と言われる杉本氏。競争馬なら“長距離向きの堅実派、地味だがいつもソコソコにくる”(ナイスネイチャorステイゴールド)みたいな感じか。しかしそれがいちばん立派なことなのである。道徳の訓話みたいになってしまったが、未来ある若者たちの指針になれば本望である。(ホントか)

「それ行けテンポイント、ムチなどいらぬ!」
「菊の季節にサクラ、サクラが満開だあ~!」
「あなたの、そして私の夢が走っています!」
その口から紡ぎだされた名フレーズは数知れない。また馬券哲学は徹底した穴狙いだそうだ。いちおう周囲からは『勝負強い』という評価になっているが、トータルでどのくらい負けたかは想像もつかない、らしい。一個人としてはドロドロの馬券オヤジといったとこだが、あの風貌と柔らかい口調がなんとなく憎めない。いつまでも『仕事も競馬、趣味も競馬』の人生・・・・う、らやましい・・・いつか私もそうなりたい。

杉本清さんのサイトはこちらから
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