第三位 エリートハンティングの衝撃
『ホステル2』

ホステル2の画像
(c)2007 Screen Gems, Inc./Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.
ショッキングな描写があるにも関わらず、人気を博したホラー・スリラー作品『ホステル』の第二弾が9月に公開されます。お金さえ出せば、法に触れることなく人を殺す体験ができるという「エリートハンティング」。イーライ・ロス監督が映画化を思いついたきっかけになったのは、現実にあるタイ発のサイトを知ったこと。クウェンティン・タランティーノ監督のプレゼンツ作品です。

前作では、ヨーロッパを旅行中の享楽的なバックパッカーの男性たちが、あるホステルに泊まったことで、エリートハンティングの標的になりましたが、今回巻き込まれるのは女性たち。軽いタイプの女性ではなく、美しく教養もあり、強さも兼ね備えている女性なのが特徴。

単に被害者を女性にしただけでは興味を惹きませんが、今回のストーリーでは、どんな人々がエリートハンティングに参加しているのか、仕組みはどうなっているのか、話は壮大に広がり、別の側面からも話を描いているところに面白さがあります。

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今度の標的は若くて美しい3人の女性。(c)2007 Screen Gems, Inc./Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.
エリートハンティングに参加する人は、お金を持っているものの、一見普通の人。自らの暗い欲望と刺激への渇望につき動かされ、禁断の行動に駆り立てられていきます。

この作品の怖さは、絶叫場面だけでなく、もしかしたら、本当にどこかでエリートハンティングが行われているのではないかと、思わずにいられないことです。 

人間の抱える欲望にはきりがないこと、代わり映えしない日常から脱出するために、刺激を求め続ける私たちの本能を考えると、ありえない話だと切り捨てることが難しいのが、本当のところではないでしょうか?

第2位 美しさと愛と恐怖
『怪談』

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(c)2007『怪談』製作委員会
『リング』の中田秀夫監督が、5年ぶりの邦画復帰で選んだ作品は、三遊亭円朝の『真景累ヶ淵』の映画化。親の因縁を持つ、美しい年増の富本の師匠と貧しい煙草売りの青年が出会ってしまったところから始まる、愛と恐怖の物語を、日本古来の怪談という形を借り、格調高く描ききっています。

どの女性の心もたちまち惹きつける美しい青年、新吉と、身持ちの堅い師匠という評判を持っていた豊志賀。評判を振り捨てるほど新吉を愛する豊志賀の気持ちは、憎しみに変わるほど強く激しく、二人の人生を狂わせていきます。

一流のスタッフを揃えただけあって、完成度も高く、映像美と恐怖とストーリーがバランス良く配置されています。恐怖表現は定番を避け、煽り的な描き方ではないので、ホラーファンの全てが、納得する怖さではないかもしれませんが、その表現方式には、心意気を感じます。

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愛と恐怖が美しく完成度高く描かれている。(c)2007『怪談』製作委員会
豊志賀を演じる黒木瞳は、気品を感じさせながら恋に狂う女を演じています。映画初主演で新吉を演じる尾上菊之助は、色気のある演技。歌舞伎の御曹司だけあって、身のこなしは見事です。

見終わった後まで余韻が残る、恐怖映画の傑作といってもいい作品だと思います。日本映画の人気復活が話題に上っていますが、モダンホラーや、テレビドラマの映画化やアニメだけでなく、このような作品が作られることで、さらに個性的で豊かな作品群が日本映画に生まれることが、期待できるような気がします。
次ページでは、いよいよ第一位を発表します。