何度も見たい『恋する惑星』
ウォン・カーウァイ監督作品
ウォン・カーウァイ監督の美学が詰まった作品 |
クリストファー・ドイルをカメラマンに起用した映像美は、浮遊感に溢れ、斬新。そこがどこであろうと、ゴミが堆積する香港の下町であれ、ブエノスアイレスの食堂の調理場であれ、絵画のような美しさに染めてしまうのです。
『恋する惑星』は、イギリスの雑誌『Sight and Sound』誌で、過去25年間の映画の中のベスト8に選ばれたほどの評価作。この映画を見たタランティーノ監督が、即座にアメリカ国内に配給するための配給会社を設立したという話も有名です。
恋することの切なさ、喜び、相手の全てを知りたいという欲望を、フェイ・ウォンの『夢中人』の歌声と共に描いたシーンは、誰でも何度でも見たいと思うぐらいの出来映え。
結婚している同士の淡い恋愛を、けだるい雰囲気とで酩酊感たっぷりで描いた『花様年華』、ブエノスアイレスでの男同士の傷つけあい、ぶつかりあいながらも愛しあう姿を描いた『ブエノスアイレス』、そして、『恋する惑星』以上の人気作『天使の涙』も必見です。
日本の監督が手がけた映像美豊かな作品とは?
岩井俊二監督は日本の代表的な映像美を持った監督。『スワロウテイル』は大ヒット作品 |
鈴木清順監督も、清順美学と呼ばれる独特の映像美で知られ、代表作に『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』、『夢二』などがあります。難解だけれど、妙に心惹かれるめくるめく極彩色の世界は、一度は試してみる価値ありです。
極彩色の世界と言えば、今は亡き、五社英雄監督の一連の作品も派手な映像美が印象的。任侠物の『鬼龍院花子の生涯 』は、宮尾登美子作品の映画化。時代劇の『吉原炎上』、『陽暉楼』は、豪華絢爛な花町の衣装など古来からの絵巻物のイメージ。女の強さをこれでもか、というぐらい力を入れて演出している作品群に特徴があります。
若い世代の監督では、圧倒的な存在感を誇る岩井俊二監督がいます。岩井美学とも称される、心に残るシーン、カメラワーク、音楽は、邦画隆盛のきっかけのひとつと言ってもいいと思います。
『打ち上げ花火は、下から見るか、横から見るか』の夜のプールのシーン『リリイ・シュシュのすべて』の田園風景や赤いカイト、『Love Letter』の小樽の吹雪のシーンや、『PICNIC』の臨海副都心の夏の風景など、いつまでも心に残る存在感を持っている美しいシーン。岩井俊二監督の映像には、子供のころや思春期の記憶が呼び戻される魅力を感じます。
映像がおしゃれな映画を見ていくと、音楽の占める位置もかなり大きいのがわかります。お洒落な映画は、映像も音楽もスタイリッシュ。だからこそ、インパクトがあるのかもしれません。
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