韓国エンタメ/韓国エンターテインメント関連情報

映画『私のちいさなピアニスト』

韓国でヒットした音楽映画、『私のちいさなピアニスト』。クォン・ヒョンジン監督と、ミン・ジンギプロデューサーに撮影エピソードなどを伺いました。

執筆者:桑畑 優香

日本のドラマ・映画界では、数年前から音楽をテーマにした作品がブームとなっていますが、『私のちいさなピアニスト』は、韓国でヒットした音楽映画。夢に破れた女性と、母を失った少年がピアノを媒介に出会い、成長していく過程を描いた、心洗われる作品です。クォン・ヒョンジン監督と、ミン・ジンギプロデューサーに撮影エピソードなどを伺いました。

ピアノの天才、子役のシン・ウィジェ

映画を彩るホロビッツのメロディーが切なくもあたたかい『私のちいさなピアニスト』
――『私のちいさなピアニスト』は、クォン・ヒョンジン監督にとって長編映画デビュー作ですが、本作を選んだきっかけを教えてください。韓国ではピアノや音楽をテーマにした映画は珍しいと思うのですが。

ミン・ジンギプロデューサー:
実は、下手をするとこの映画はお蔵入りになってしまう可能性がありました。というのは、韓国では音楽映画がヒットしたことがなく、映画館にかけて収支が合うかどうかというのを心配していたのです。しかし制作費を何とか集め、公開にこぎつけることができました。この映画を作る前に、『シュリ』のようなアクション映画を数年かけて準備していました。しかし、それがうまくいかず、とても苦しい時期を送っていたのです。そこで、新しいシナリオを書くか、シナリオを見つけて映画化したいと思っていました。そんな矢先に映画仲間との酒の席で「ピアノを題材にした良い映画があるらしい」と話題になっていました。翌日すぐに脚本家に電話をしてシナリオを見せてもらいました。事務所で監督と一緒に読み、ふたりともすぐに気に入りました。シナリオの中にはいくつか修正したほうが良いと思われる箇所もあったのですが、「直したほうが良い」と思う箇所が、監督と私で一致していました。そこさえ修正すれば、とても良い映画ができるだろうと確信したのです。


――主人公のキョンミンを演じたシン・ウィジェは、ピアノの才能が理由でキャスティングされたと聞いています。ピアノの経験は演技に良い影響を与えましたか。また、演技経験がない子どもを演出するために、どのような点を工夫しましたか。

クォン・ヒョンジン監督:
シン・ウィジェは本当にピアノが上手い。初めて会ったときに、とても驚きました。ピアノを弾くときの集中力がすごいのです。実は、演技は上手いけれど、ピアノを弾くことができない、別の子をキャスティングすることも考えていました。しかし、ピアノを弾いている姿は、習っている人にしか出せないものがあります。演技は初めてだったので、ある方法を使いました。2パターン撮影しておくのです。シン・ウィジェなりに考えて演じるものと、私が演出して演じさせたもの。そのふたつを編集の段階で見比べて、良いほうを選ぶという方法をとりました。

ミン・ジンギプロデューサー:
監督が演技をつけた部分ももちろんありますが、現場ではオム・ジョンファとパク・ヨンウがかなり助けてくれました。まるで先生になったようにアドバイスしていました。シン・ウィジェが泣かなければならないシーンでは、わざときついことを言って泣かせたりもしました。

次ページでは、映画に描かれた母性愛について語ります。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます