映画『相棒―CITY OF VIOLENCEー』
韓国・ソウルの警察に勤務する刑事チョン・テス(チョン・ドゥホン)のもとに、郷里・忠清道(チュンチョンド)の小都市オンソンで暮らしていた旧友オ・ワンジェ(アン・キルガン)の訃報が届く。激務に追われ、過去のことなど顧みる余裕さえなかったテスもこの報せにはショックを受けた。早速休暇をとり、オンソンへ帰ったテスは斎場で少年時代の親友たちと再会する。ワンジェの葬儀をとりしきっていたのは、土地開発業を営むチャン・ピロ(イ・ボムス)。彼はワンジェの妻ミラン(キム・ソヒョン)の実兄だった。学生の頃からワンジェに助けられていたユ・ドンファン(チョン・ソギョン)、そしてその弟ソックァン(リュ・スンワン)も悲しみに暮れていた。
テスはワンジェの死にまつわる話をピロから聞かされる。ヤクザだったワンジェは、刑務所暮らし、そして実母の死やミランの流産をきっかけに足を洗い、自らの組織をピロに預けたのち、小さなバーの店主となった。しかし店で暴れた少年たちを取り押さえようとして争い、逆に刃物で刺し殺されてしまったのだという。その事件現場に訪れるテス。彼の脳裏で、ワンジェ、ピロ、そしてソックァンやドンファンと過ごした懐かしい日々の記憶が甦る。
一方、ワンジェを殺害したと目される少年たちは逃走を続けていた。ソックァンは大の恩人だった兄貴分ワンジェの仇を討つべく、彼らの足どりを探る。そしてテスもまたこの殺人事件に疑問を感じ、解決までオンソンに留まることにする。
事件を境にオンソンの町は大きな変貌を遂げようとしていた。観光特区に指定されカジノ誘致計画も進められていたが、その陰で暗躍していたのは意外な人物だった。そんな中、ソックァンとテスは手を組み、過激な捜査を繰り広げていく。やがて明るみになる衝撃的な事実。しかし事件の証人たちは次々と消され、そのあげく、何の罪もないソックァンの家族までもが犠牲となってしまう。
愛する者を奪われたソックァンとテスの怒りがついに爆発する。復讐に燃える2匹の獣は殺し屋の群れが待ち受ける敵の本拠へ乗り込んだ……!
映画『相棒―CITY OF VIOLENCEー』公式ホームページ
リュ・スンワンプロフィール
1973年12月15日生まれ。中学時代から8ミリ映画を撮り始め、高校卒業後は様々な仕事に就きながら、フィルムワークショップなどで映画を学ぶ。パク・チャヌク、パク・ギヒョン、クァク・ギョンテクといった監督のもとで助監督を務める一方、96年から短編映画を制作。98年に監督と出演も兼ねた『ケンカ』が釜山アジア短編映画祭で優秀作品賞を、99年には『現代人』で韓国独立映画祭・最優秀作品賞と観客賞を受賞。そして00年、『ケンカ』と『現代人』を含む短編4作から成るアクション『ダイ・バッド~死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか』が観客と批評家から絶賛されることに。苦労を重ねて作り上げたこの監督兼出演作は、“2000年の韓国映画界における最高の事件”と称えられ、釜山国際映画祭・観客賞、青龍映画祭・新人監督賞などを受賞するとともにカルト化。彼自身も韓国インディーズの旗手として注目される。その後、150万以上という驚異的なアクセス数を記録したインターネット映画『タチマワLee』(00)を経て、02年には女性ふたりを主人公にしたアクション『血も涙もない』を、そして04年にはCGとワイヤーワークを駆使したアクション『ARAHANアラハン』を送り出す。どん底から這い上がろうとするふたりのボクサーの生き様を描いた『クライング・フィスト』(05)はカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞に輝き、監督リュ・スンワンの名を全世界に轟かせた。師にあたるパク・チャヌク監督の『復讐者に憐れみを』(02)などで俳優としても活躍。自作自演を巧みにこなすその才能から、“韓国のタランティーノ”と呼ばれることに。
次回監督作は“ゾンビ映画”。『クライング・フィスト』などで主演を務めた実弟リュ・スンボムと再び組んでいる。
■主な監督作
『ダイ・バッド~死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか』(00)、『タチマワLee』(00)、『血も涙もない』(02)、『ARAHANアラハン』(04)、『クライング・フィスト』(05)、『男だったらわかるだろ?』(05・オムニバス映画『もし、あなたなら2 五つの視線』の1エピソード)
■主な出演作
『3人組』(97)、『ダイ・バッド~死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか』(00)、『オアシス』(02)、『復讐者に憐れみを』(02)