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「一発屋」お笑い芸人が「一発屋」なワケ(2ページ目)

一発屋で終わった芸人と、生き延びている芸人の比較。テツandトモとはなわを例に出しながら解説。後半では次の一発屋芸人の予想も記載。

執筆者:金田 有朋

「ネタ番組」で勝ち抜くだけでは先がない!

お笑い芸人を待っているのは光り輝く未来なのか、はたまた一発屋として終わる未来なのか……。
多くの人が感じていることかもしれませんが、芸人はたいていの場合、売れるとネタをしなくなります。これはまず、「売れる」ということ自体、

・ネタ番組で注目を浴び、人気が出る。
・ネタ番組以外のバラエティ番組に出演する。
・そのチャンスをモノにして、新しいキャラクターをアピールする。
・レギュラー番組を獲得する。
・冠番組を持つ。

という流れが一般的だからです。最近ではアンタッチャブルがもっともこのラインに乗った芸人でしょう。そもそも数に限りがあるネタ番組に5分~10分出演するだけでは露出も稼ぎも限られてきます。トークが出来て、TVに出られてなんぼです。言うなれば「ネタ」は売れるための初期商品、きっかけという意味合いが強いのかもしれません。

で、ネタ番組ではないバラエティ番組に定着するためにはネタ以外の特徴が必要になります。この段階でテツandトモとはなわを比較すると、

「テツandトモ」=「なんでだろう」のネタ芸人。
「はなわ」=持ちネタが豊富、CD売上の実績で知名度もある、ものまねも出来る芸人。

という差が生まれてきます。となると、当然オファーの数も、出られる番組の幅にも差が出てきます。いわば「出演できる番組の差」こそがお笑い界において明暗を分けるポイントだと思います。

雨上がり決死隊の宮迫博之や、アリtoキリギリスの石井正則のように、芝居が出来る人は映画やドラマの仕事が舞い込んできますし、文才と知性がある爆笑問題の太田光や、浅草キッドの水道橋博士のような芸人には執筆の仕事が入ってきます。「タレントとしての能力値」と言ってしまえばそれまでですが、お笑い界での自分の現在地と先々への強みを客観的に捉えて自分のポジションを作れる能力が、売れていくためには不可欠です。藤井隆だって、今では全然オカマキャラじゃないですからね。

自分の持ちネタの応用力が成功のカギ

例えば、はなわは現在「脳内エステ IQサプリ」に「IQ都道府県」というコーナーを持っています。視聴者から送られてきた都道府県にまつわるクイズを、はなわが唄に乗せて出題するコーナーです。これは「佐賀県」だけにとどまらなかった、はなわのネタ作りの賜物でしょう。

また、答えを発表して納得できなかった場合には、番組独自の「モヤッとボール」を投げつけられます。繰り返しになりますが、はなわのブレイクのきっかけは「佐賀県」。故郷佐賀県を自虐的に笑いにしたネタです。「気取り」や「カッコよさ」を売り物にした芸人ではありません。したがって、モヤっとボールを投げつけられて可哀想な目に合う様も、ごくごく自然なものとして映ります。キャラクターと番組が上手く噛み合った状態ですね。

もしこれがテツandトモだったら、どちらかというと体育の時間にドッジボールを投げつけられている中学生のイメージです。先生に怒られてしまいそうな気がします。このあたりが「なんでだろう」以外にバラエティの適正を出し切れなかった結果かもしれません。私的に、テツandトモはネタ一本に絞って、寄席・演芸界に向かった方が懸命だったと思います。「海老一染之助・染太郎」的なポジションを目指した方が、彼らの適性も活きた気がしますし、競合も少なかったと思います。

次の「一発屋」はいったい誰?

さて、そうなってくるといよいよ気になってくるのが「次は誰が危ないの?」というところでしょう。雑誌なんかでも取り上げられていますが、もっとも本命視されているのが波田陽区。辛口のネタで一般人や芸能人を斬りたおしている彼です。今のところ「残念!」というフレーズも浸透し、知名度はかなり高いと思われますが、これといった二発目が見当たりません。新たな側面を見出そうと、私服でバラエティ番組に出たりしていますが、いかんせん着流しを着ていないと波田陽区なのかさえ一瞬分かりません。来年末くらいには危険な匂いがしますね。

そんなわけで、私目線にはなりますが、ネクスト一発屋芸人予想というものを最後にしてみたいと思います。一発屋の予感が漂う何組(何人)かの芸人さんの『来年も1年を通してTVに出ている可能性』をパーセンテージにしました。一つ一つの理由は、長くなってしまうの割愛しますが、数字が低ければ低いほど、TVに映っている可能性も低い、という予想です。

・ 波田陽区…10%
・ 青木さやか…90%
・ レイザーラモンHG…60%
・ 摩邪…30%
・ カンニング竹山…70%
・ レギュラー…65%
・ ヒロシ…20%
・ アンガールズ…80%

こんなところでしょうか。数字を低めにしてしまった芸人さんには、予想を裏切る活躍を期待しますし、まだ大丈夫そうな芸人さんも油断しないで頑張っていただきたいものです。「芸」を持った人が集まるのが芸能界。「大」が付くほどの人気を保つことは極めて困難です。ですが、自らの地位に安住することなく、それぞれのポジションを築き上げていけると明るい未来が待っていることでしょう。まぁそれが一番難しいことでもありますが。

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