星組トップ時代(2006年~2009年)
2006年 | 『ヘイズコード』レイモンド *トップお披露目 |
2007年 | 『さくら』『シークレットハンター』 *本公演トップお披露目 |
『エル・アルコン―鷹―』ティリアン・パーシモン | |
2008年 | 『赤と黒』ジュリアン・ソレル |
『THE SCARLET PIMPERNEL』パーシー・ブレイクニー | |
『ベルサイユのばら』ベルナール | |
2009年 | 『My dear New Orleans』ジョイ・ビー |
宝塚音楽学校を首席で卒業し、研5で堂々の新人公演初主演。
切れ長の大きな瞳と美しいルックス。華やかさ。そして実力。誰もが未来のトップスターを想像したに違いありません。
中でも歌唱力は抜群。声量や美声に頼ることなく、歌でドラマを作ることをこの時期から見せていました。
『エリザベート』新公のトート役、『レ・シェルバン』(1997年)の「EL CUMBANCHERO」、『ICARUS』の「失くした翼」、『凍てついた明日』の「Blues
Requiem」等、語り草となっています。
やがて、成瀬こうきさん、朝海ひかるさんが雪組に組替えとなり『ノバ・ボサ・ノバ』の役替りをはじめ同期3名トリオで使われていきますが、今度は安蘭さん自身が星組へと組替え。
安蘭さんを大きく変えたのは、組替えと、組替え後初の主演作品『花吹雪恋吹雪』の石川五右衛門でしょうか。爽やかな青年が“男”に成長しました。
『雨に唄えば』 (C)宝塚クリエイティブアーツ |
その後の安蘭けいは、野性的で情熱的な大人の男役。渋さと色気のある男役。黒い役、悪役、ヒゲも似合うスター。
それでいて、貴公子や白も似合う、女役も魅力的という変化自在な人。
サービス精神旺盛。ユーモア・センスは抜群でコメディーはお得意。
時には「二枚目スターなのにそこまでやるの?」と思うほどの徹底した役作り。舞台上では「安蘭けい」ではなく、その役を生きてきたからなのでしょう。観るたびに全く違う「安蘭けい」に出会える楽しみがありました。
安蘭けいの名をさらに大きく飛躍させた3役は、やはり歌の比重の多い役でした。
まずは『雨に唄えば』のドン。
“本人が何より楽しんで演じている”と感じられたステージに、痛快無比なる舞台観劇の醍醐味を味わいました。円熟した演技と堂々とした貫禄に“彼女はまだトップではないのだった…”と気づき驚いたものでした。