腰に下げた電池部分に違和感を感じる…。背中に這わせるコードが気になる…。髪型を変えるたびに先端のマイク部分を直さなければならない…。宝塚時代は、ただ衣装に差すだけでよかったので。
ある日マイクさんに「このマイクの利点は?」とお聞きしたところ、「顔をどこに向けても、音をちゃんと拾えるでしょ?」という“なるほど!”と納得する答えが返ってきました。
衣装にマイクを付けていたら、顔を動かすと口元がマイクから離れてしまいます。しかし顔のどこかに付けていたら…? 顔をどの方向に向けても、口元にマイクもちゃんと着いてきますよね。歌やセリフがちゃんと拾えるのです。
宝塚歌劇でもこの顔に付けるマイクを使用するようになったのは、そうした理由からでしょう。
ただデメリットもあります。
扱いが安易でない他に、湿気を嫌うので、額や頬の汗をふき取らなくてはなりません。
そしてもう一つ。見た目の問題。
色もベージュでどんなに小さくても、顔に付いているわけですから、お客様からの見た目がいいとは言えません。異物と感じる方もいるでしょう。
衣装につける
顔に付けるものより以前から使用されていたのが、この衣装に付けるタイプ。
構造的にはほぼ同じです。
違う点は、先端のマイク部分を衣装の中から出し、クリップで衣装に挟んで付けます。コードも針金のようではありません。
装着はそれほど大変ではありませんが、衣装を替える度、先端を衣装に付け直さなくてはなりません。
娘役のドレスをはじめ胸元が開いたものなら、クリップで挟むだけでOK。男役もシャツの隙間からコードを出し付けられます。
胸元の開いていない、または隙間のない衣装の場合、マイク部分を衣装の穴から出して挟みます。
つまり、マイクの先端を出す穴が衣装になくてはなりません。
例えばタートルネックのニット。隙間もありませんよね。なので衣装部さんは胸元にマイクを通す穴を作っています。