いつもは宝塚大劇場や東京宝塚劇場をはじめ、勝手知ったる劇場での公演。そして舞台稽古も数日間行われます。
ところが「全国ツアー=毎回、劇場が違う」。これはどれほど大変なものでしょうか?
劇場が毎回違うということは、すべての場所や広さ、構造が違います。
舞台全般。早替りをする場所。楽屋。ココからアソコへ行くまでの移動…
それらをご紹介しましょう。
舞台
昨今の地方の劇場はとても立派ですし、また宝塚歌劇が上演できる劇場で上演されます。でも、各劇場、大きさも構造も違うわけだから、それに毎回対応しなければなりません。
舞台の奥行きや幅が違えば、芝居の感覚が違ってきます。袖からセンターまで歩くにしても、近かったり、遠く感じたり。ダンスでも、広々と踊れたり、または隣の生徒とぶつかりそうになったり。
その舞台のサイズに合わせ、臨機応変に瞬時に対応しなければなりません。
上下(かみしも=上手・下手)の袖の数も違う場合があります。前から何番目の袖から登場するかを自分で判断しなければなりません。
花道が使えない劇場の場合は、花道で踊っている人は、本舞台の最後列に変更したり。
上手から下手に急いで移動する場合、大劇場などではホリゾントを通りますが、そのホリゾントが使えない(舞台の奥行きがないなどの理由で)こともあります。
そうした場合、舞台の外の裏側の廊下を走ったり、その廊下さえない場合は、上下(かみしも)逆から舞台に出るなんてこともあります。
そうした判断は個々でしたり、時には組長さんや上級生から指示が出たりもします。
早替り
一番大変なのは衣装の着替えや早替りに関することでしょう。
誰がどこで早替りをするかは、生徒より先に劇場入りした衣装部さんが決めて下さいますが、その場所は毎回違うわけだから、慣れる間もなく終わってしまう状況。
専用の着替えのスペースのある劇場もあれば、舞台袖であったり楽屋の廊下であったり。
広さもまちまちですから、狭い場合に大きな衣装が多い作品だと、とんでもない(!)状態になります。そこに、カツラや被り物、靴、小道具などもあるわけですから。
全身が映る鏡も、少ししかありませんし。
そんな状態でさらに大変なのが、衣装部さんの人数が限られていること。
本公演では衣装部さんに背中のファスナーを上げてもらっていたのに、隣の人とやりあいっこしたり、自力で頑張ったり。これが日本物だとどれほど大変か。
手があいている生徒が手伝うのは当たり前。どんなに上級生であろうと、下級生の手伝いをします。