宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

専科・初風 緑―退団(2ページ目)

2005年11月13日――専科の初風 緑さんが、宝塚歌劇団を卒業しました。パワフルにそしてエレガントに、重く大きく存在し続けた華やかな爽やかなスター。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド

初風さんが初舞台から1997年まで過ごした当時の花組には、後にトップスターとなる錚々たるメンバーが、彼女のすぐ上に大勢いました。
その中で下級生時代を過ごしたことは大きな影響を受け、後の初風 緑を作ってゆく土台となったことでしょう。

『君に恋してラビリンス!』のルディや『たけくらべ』の正太郎など、若々しい青年役が多かった花組時代。新人公演主役も何度も務めました。

月組時代の当たり役はなんといっても、体力の限界にも挑戦した、パワフルでクールな『WEST SIDE STORY』のリフ。
その後、明るくはじけた『から騒ぎ』のロッキー、『ノバ・ボサ・ノバ』の甘いマール、『BLUE・MOON・BLUE』の妖艶なナーガなど、様々なタイプの個性的な役、ショーを演じてゆきました。

専科時代は二度のコンサートや外部出演も含め、初風さんの実力や存在感がさらに開花した時代。
特に『スサノオ』のアマテラスオオミカミは、女役でありながら、まさに太陽神と言える大きさ、存在感。 『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフは、フランツの成長、苦悩、加齢といった人生そのものを見事に演じぬきました。

双方とも歌の比重の大きな役ですが、下級生時代、歌が苦手だったとは信じられない歌唱力。もちろんそれも、彼女の努力の賜物でしょうね。

常に誠実に役と向き合い、創りあげていった初風さん。男役として決して大柄な人ではありませんが、いつも体当たりの舞台姿に魅了されました。
そして爽やかな笑顔は、温かい光のよう。

舞台以外のもう一つの彼女の魅力。それは、何かを話す姿勢、言葉。
優しい声でおだやかに、だけど自分の思いを自分の言葉ではっきりと伝えられる人でした。それはきっと、すべてのものに対して常に敏感で、誠実に受け止めていたからでしょうか。

舞台が好きな彼女ですから、退団後もきっとパワフルなまたエレガントな姿を見せてくれるでしょう。
まずは、9月に行われたディナーショーが、退団後すぐに再演されます。

■『SOL Y SOMBRA』―光と影―

・作/演出 柴田侑宏

・出演 初風 緑 【宙組】葉室ちあ理/花音 舞/花里まな

・11月16日(水)・11月17日(木)
 第一ホテル東京 5F ボールルーム「ラ・ローズ」
 ディナー 18:00~
 ショー19:30~

・料金 25.000円(税込み)

・問  第一ホテル東京  03-3596-7733(専)
  

さて、宝塚歌劇専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」での2年前のインタビュー番組で「貴女にとって宝塚とは?」という問いかけに、初風さんはこんな風に答えています。

「今は……まだわからない場所。離れてみて初めて、ど~んと来るのかも。それぐらい重く大きい場所。」

今頃、ど~んと来ているかな…
そして 私たちの中にも、初風 緑という男役スターの存在は重く大きく、これからもそれは変わらないでしょう。

ガイチ…お疲れ様…
そして…ありがとう!



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タカラヅカ★10月の新譜「専科・初風 緑退団にちなんで」

 

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