皆さんは香水を付けます? それはどんな時? 香水を付けると、どんな気分になる? タカラジェンヌにも香水を付けている人がたくさんいます。特に、舞台に立つ時にね。
舞台に立つ前、手首や耳たぶに付ける香水。それはきっと、一人の女性から舞台人へ、またその時演じている“役に変わってゆく階段”のようなもの。舞台化粧をしたり衣装を着ることと、同じ感覚なのかもしれません。「さぁ、今から始まる……」という緊張や、個人ではない違う自分に変化するためのひとつの小道具。
私は舞台化粧のドーランの匂いが大好きだったので、ドーランが香水のようなものでした。それでも、周りから漂ってくる甘い香りにいつも包まれていました。楽屋で、衣装部屋で、舞台上で……。
スターさんの香り。いっしょに組んで踊っている男役さんの香り。早替りをしている時に感じるいくつもの香り。真っ暗なホリゾントを通っている時、向こうからやってくる生徒さんが誰だかわからなくても、香水が教えてくれたり…。
ファンの方にも、生徒さんの香水に対するいろんな思い出がたくさんおありのようです。前の方の席で観ていると、フィナーレのパレードで銀橋から漂う甘い香りにうっとりしたり。中には「●●さんが舞台袖で今スタンバイしている…」と、香水の香りで気づく方もいらっしゃるそう。
舞台と客席間だけではなく楽屋出の時など、お気に入りの生徒さんの香りをそばで感じたり、すれ違った生徒さんが残していった香りに気づいたり。
タカラジェンヌにとっては“役に変わってゆく階段”の香水、ファンの方にとっては“現実から夢の世界への扉”のようなものかもしれませんね。