<主な舞台歴>
1989年『ベルサイユのばら』小公子。新公でオスカル。
1992年『白夜伝説』オーディンで新公初主役。
1993年『うたかたの恋』新公でルドルフ。
1995年『殉情』佐助でバウホール公演初主演。
1996年『エリザベート』ルドルフ。
1997年『誠の群像』沖田総司。
1998年『ディーン』ジェームス・ディーン。
1999年『WEST SIDE STORY』リフ。
『夢・シェイクスピア』ピーター。
『我が愛は山の彼方に』チャムガ。
2001年『花の業平』梅若。
『猛き黄金の国』坂本竜馬。
2002年『追憶のバルセロナ』フランシスコ。
“男役の”と言うより“男性の”“人間の”色んな面を出せる人。強さも大きさも冷たさも情けなさも。頼りたい、甘えたい男かと思えば、放ってはおけない少年にもなる……。真っ白の軍服や儚い美青年も似合えば、粗野で豪快な男も似合う。惑わすのが上手な不思議な魅力。
それは役を演じる上でのテクニックと言うより、彼女自身の持っている天分と言っていいかもしれません。舞台人としても一人の人間としても、自分の感情を大事に、感情の赴くままに生きてきたのでしょう。たまらなくいい表情をする人です。
最後の役となったフランシスコでは、同性からも異性からも頼られ尊敬される、頂点に立つべき男を見事に演じました。まさに今の彼女自身の姿でした。ショーのフィナーレ、白のスーツを少し着くずしてタップを踏む大人の色気。少年が大人になり、そして誰かに例えることのできない「絵麻緒ゆう」という存在として輝いていました。
彼女は、自分だけの“哲学”“法律”を心の中に強く持っていたのでしょう。時としてそれは、大きな組織の中で生きる上で、息苦しさを感じたでしょうね。だけど彼女は息苦しさや戸惑いをまっすぐに受け止め、自分が感じた正しさは変えず……。強さも弱さも見せながら。