宝塚歌劇団には毎年40数名の入団者がある反面、それと同じくらいの退団者があります。退団者の数はその年によってまちまち。退団する理由も人それぞれ。
“宝塚の舞台に立つ”という仕事から新しい道へ転向する人、自分なりに宝塚を満喫できやめる人、寿退職ならぬ寿退団する人。体の不調で退団する人もいます。理事長に退団届けを提出してから最後の日まで、“退職”のひと言で終われない宝塚生徒の退団は、まるでひとつのセレモニーのように思えます。
男役トップスターが退団する公演は“○○さんのサヨナラ公演”と呼ばれ、トップスターを送り出すにふさわしい作品が上演されます。「このトップさんのステキなところを、全部お見せしましょう! だって最後なんだから」――。作り手側のスタッフもこんな思いです。
芝居の流れに“別れ”を感じさせる内容のものが多かったり、男役が1番かっこよく見える黒の燕尾服をショーで着せたり。それがかえってファンの涙を倍増させてしまうのです。
またトップスターの退団に欠かせないもの――それはサヨナラショー。千秋楽とその前日(通称・前楽)、通常の舞台が終わった後に行われます。今までに出演した作品の好きだった歌やダンスシーンなどで構成される、そのトップさんの歴史とも言えるショー。
しかもたった2回しかないサヨナラショー。もちろんいつも以上に激しいチケット争奪戦! それでも観られない人は山ほどいて、最近では日本の数箇所のホールでサヨナラショーの舞台中継が行われるまでになりました。