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2009年ドラマベスト5は「現実と向き合う」(4ページ目)

恒例企画、今年のドラマを通して2009年を振り返ってみましょう。最初に結論をいっておくと今年のドラマ、最大のテーマは難しい問題が多い中「現実と真摯に向き合う」だと思います。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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1位『アイシテル~海容~』

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少年殺しの少年犯罪の加害者家族と被害者家族を最後まで丹念に描きました。加害者の父(山本太郎)が「こうなったのは君のせいだ」と妻(稲森いずみ)を責めるたり、弟がかわいがられすぎて「消えちゃえばいい」と思っている姉(川島海荷)など、それぞれの気持ちがいちいち理解できます。
つらい展開に目をそらしたいけどそらせない、そんな雰囲気を醸し出しています。それを経験したことにより最後にたどり着いた「許すこと」には深いものがあります。

この日本テレビ系水曜22時枠、以前は『ハケンの品格』や『ホタルノヒカリ』などちょっとヘンな女路線で売っていましたが、『ハケンの品格2』が経済情勢により(もはやシャレにならないから)ボツになったといわれた今年から、シリアス路線中心に変わりました。

10月からの『ギネ~産婦人科の女たち』もドラマのパターンを外していてかなり挑戦的な作品でした。
ヒロインを感情移入しにくい性格設定にしたのは藤原紀香の演技を最大限に活かすためだったということで納得できますが、始まる前から医療訴訟が起こりそうな伏線を張っていて終盤はそれが中心になると思ったら裁判は1週で終わってしまったり、最終回で小笠原にヒロインが旅立つのを引き止めに成功したり(ほとんどのドラマは引き止めに失敗して旅立ちます)、ありがちな展開には決してなりません。
脚本は『ふたりっ子』の大石静、メイン演出はフジテレビ時代に『ナースのお仕事』を手がけた岩本仁志など手練がそろっていて、ドラマの定石はわかっているはずです。それなのにあえて逆らったとしか思いようがありません。その結果、おもしろかったとはいえないし人気の病院物でも産婦人科は難しいのかヒットもしませんでしたが、かなり考えさせられるドラマになっていました。

今後も、現実に真摯に向き合ったドラマ作りを期待したいと思います。
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