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「オフクロからハハー」呼方で中身も変わる(3ページ目)

お母さん、おふくろさん、ママ、ハハーっと時代により母親の呼び方が変わり、ドラマの中での描かれ方も変わる。その変遷を振り返ります。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

陰で心配する母

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2000年代に入ると連ドラでの母親はますます前面にでなくなり、陰で子どものことを心配する存在になりました。

それを代表する女優は大森暁美。ここまであげたのはおかあさん俳優は大女優が多いのですが、大森暁美が注目されたのは『ビューティフルライフ』(2000)での杏子(常盤貴子)の母からで、この時点で64才と女優として超遅咲き。足の不自由な杏子を気遣い、明るく振る舞う母を好演、その後も『ロケット・ボーイ』で織田裕二の母、『利家とまつ』(2002)で松嶋菜々子の母と続きます。今でも顔は知っていても名前までは知らない、という人は多いはずです。脇役としての母親の定番女優となりました。

最近で印象的なのは母親役ではないのですが『ラスト・フレンズ』(2008)の最終回。自殺しそうな雰囲気で海岸をふらふらしていた美知留(長澤まさみ)を見つける昔なじみのおばちゃんとして登場。この時点でハッピーエンドになるなと予感させられました。

現代は癒しの母

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さて現在のテレビドラマにおける母親像はどんなものでしょうか。

最近の母親役定番女優はアラフィフで田中好子と宮崎美子、もう少し上の世代で竹下景子と市毛良枝というあたりではないでしょうか。

宮崎美子は連ドラ版『ちびまる子ちゃん』のおばあちゃんで市毛良枝は同じくスペシャル版のおばあちゃん、竹下景子は実写版『サザエさん』の舟さんに
『坂の上の雲』で秋山兄弟の母、それにパブロンのCMのイメージも強いところ。田中好子は『ちゅらさん』の母役が大きくて現在の月9『東京DOGS』でもボケキャラ母を演じています。竹下景子と市毛良枝はかつて「(息子の)お嫁さんにしたい女優ナンバーワン」といわれたところが共通しています。

全員にいえるキーワードは「安心感」でしょう。2000年代初めからの陰で心配する存在としての流れと、『ぽっかぽか』あたりから始まるほのぼの路線。この二つが合流して、今は出てくるとホッとできる「癒し」てくれる母親が求められているのだと思います。

今年、印象深かった母親は『アイシテル~海容』でさつき(稲森いずみ)の母役の藤田弓子。全体に息が詰まるようだったこのドラマ、どこで緊張が緩和するんだろう?と思ってみていたのですが、実家にもどって藤田弓子が迎えてくれたところでホッとできました。藤田弓子は朝ドラ『マー姉ちゃん』(1979)でも34才の若さで熊谷真実、田中裕子の母親役を演じ「明日を思い煩う事なかれ」の名セリフが印象的です。。
(ちなみに藤田弓子は朝ドラでヒロイン、母親、ナレーションの主要三役をすべて経験している唯一の女優で、ぼちぼちおばあちゃん役をやってほしいところです。)
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