第3位『不良少女とよばれて』
大映テレビ ドラマシリーズ 不良少女とよばれて 前編 |
母親に「おまえなんか生むんじゃなかった」といわれたことから不良の道に走った笙子(伊藤麻衣子)は哲也(国広富之)の愛の力により更正、民間舞楽の道に入った実話を元にしたドラマ。
だけど大映テレビがつくるととても実話ベースだとは信じられません。ややタレ目の伊藤麻衣子を不良少女らしくするために目張りを入れ眉を極端につりあげた極端なメイクをしたり、少年院に入ればモナリザ(伊藤かずえ)率いる白ユリ組と大乱闘、朝男(松村雄基)は「おれは、薄汚ねえ大人などには永遠にならねえ男よ」などクサいセリフをいいながらアクションシーンを決めるなど最初から極端な設定がどんどんエスカレート。笙子と哲也がバイクもろとも深い谷底に落ちてもかすり傷程度、ナレーションで「愛は時として奇跡をよぶものである」と無理矢理なフォローまでつけてしまいます。
一方、妙なところで事実に忠実で生活費をかせぐためにワカメの行商をしたりします(原作は終戦直後だからだけど80年代にそんなやつはおらん)。
しかし哲也の命を賭けた説得で笙子が更正するなど、個々のシーンを見れば強引な展開も全体を通してみると説得力を持たせているのがさすがです。
原作:原笙子
脚本:江連卓、大原清秀
演出:土屋統吾郎、岡本弘、山口和彦、江崎実生、竹本弘一
制作:春日千春、荒川洋、樋口祐三
出演:伊藤麻衣子、国広富之、伊藤かずえ、山本學、小林哲子、高橋昌也、岩本多代、松村雄基、比企理恵、名古屋章、中条静夫、三ツ矢歌子、岡田奈々
第2位『ヤヌスの鏡』
大映テレビ ドラマシリーズ ヤヌスの鏡 前編 |
真面目で気弱な優等生・裕美(杉浦幸)。母は男に捨てられて自殺したため私生児として祖母(初井言榮)に育てられた過去を持つ。祖母の教育が度をこして厳しかったことがトラウマとなり、ガラスの割れる音など折檻を連想させることがあると裕美は別の人格・ユミとなり不良少女と化すのだった……
設定だけでもすごいけど、実際の映像を見るともっとすごい。『不良少女とよばれて』は不良の時と更正した時の違いはメイクの差の範囲内でした。しかし『ヤヌスの鏡』の場合、人格が変わるとともに一瞬で顔が変わり声まで変わる(声は杉浦幸の演技力に対応するための苦肉の作とか)。『鞍馬天狗』『月光仮面』の時代から『ウルトラマン』『仮面ライダー』の変身に進化?しています。
祖母(初井言榮)の「悪霊退散、悪霊退散」のセリフも心に残ります。