合格ライン
合格ライン上なのが『交渉人~THE NEGOTIATOR~』と『貧乏男子ボンビーメン』。『交渉人』はよくいえば息も継がせぬ緊迫の展開ですが、悪く言うと息を抜くところがありませんでした。普通の刑事ものだったら、聞き込み、取り調べ、捜査会議などいろいろなシーンがあるのに対し、宇佐木玲子(米倉涼子)が交渉人として現場に出てしまうと緊迫しっぱなし。警察に戻ってきても職場はギスギスしているし、家に帰る途中では新聞記者(伊武雅刀)と新人刑事(高岡蒼甫)がつけてくる。家に帰っても妹(林丹丹)は反抗期。ヒロインも視聴者もホッとできるのは親友の三村留美子(安めぐみ)と飲むときだけ。好きな人にはいいんでしょうけど、ちょっと視聴者を選びました。しかし3話からの爆弾事件では捜査部分も増えてちょっと緊張が緩和してきました。
『貧乏男子』主演の小栗旬は昨年『花より男子2』と『花ざかりの君たちへ』をヒットさせて、イマシュンでの初主演ですが、「王子さま」パターンじゃないと視聴率的にはちょっと苦しい。しかし内容には見るべきものがあります。
初回、100万円の借金を返すため「一晩で封筒貼り200万枚」の課題をたくさんの友だちをメールで読んでクリア、しかし友だちはバイト料目当てでさらに借金がふくらんでしまったとラストでどんでん返し。「お金と情」というテーマをうまく表現しています。3話でついに本筋に関係してきた白石涼(三浦春馬)のからみ方もいけてます。
原作があるけど
『鹿男あをによし』は主人公が不運な男でもかまわない、藤原先生(綾瀬はるか)みたいに性格があかるければ十分だし、『喜多善男』も不運な男だけど、自殺を決意したことでマイナスとマイナスのかけ算で妙に前向きになってます。しかし同時に神経衰弱気味なのはやめてください。男前の玉木宏をもってしてもそれはあまりに見ている方がつらすぎます。ずーっと「いつ鹿がしゃべるんだ?」と思いながら見ていましたが、しゃべったのは1話のラスト。鹿がしゃべった後の2話は本筋が進んでそれなりにおもしろくなりましたが、第1話で逃がした視聴者は多いはず。
『1ポンドの福音』は『すいか』『野ブタ。をプロデュース』『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』の河野英裕Pの新作ということで期待していたんですが、あのビミョーなおもしろさは『すいか』『野ブタ。』の木皿泉か『マイ☆ボス』の大森美香(現在は『エジソンの母』を担当)ぐらいの脚本レベルじゃないと成立しないんですかね。率直にいってごく普通のドラマです。
『ハチミツとクローバー』は原作ファンには「独特の空気感が表現されていない」と不評だし、原作を読んでないガイドがキャンパスが舞台の青春恋愛ものとして見てもさえたデキではありません。
人気少女コミック原作はヒットドラマの必勝パターンでしたが秋ドラマの『有閑倶楽部』に続いてだんだん崩れつつあります。ドラマになる適当な原作が枯渇しているのではとの声もあり、少女コミック原作全盛時代が終わりつつあるのかもしれません。