女の葛藤と友情を描く神山由美子脚本ストーリーのおもしろさの貢献で忘れていけないのは神山由美子脚本。女同士の戦いとその先に芽生える不思議な友情を描くことを得意としています。最初に注目されたのは『悪女(わる)』(92,NTV系)。一流商社に三流のコネで入社した田中麻理鈴(石田ひかり)は社内の男性にひと目惚れ、巨大商社の中でイニシャルしかわからない人を見つけるために「出世」を目指すという、最近のお仕事ドラマの原点ともいえるサクセスストーリー。 恋のライバル?(鶴田真由)仕事のライバル(渡辺満里奈)麻理鈴を導く謎の先輩(倍賞美津子)など脇役の魅力もたっぷり。 『人の不幸は蜜の味』(94,TBS)ではワガママなベテラン少女マンガ家(大竹しのぶ)を中心に、母親面して説教するママ母(泉ピン子)、長年虐げられていたけど独立して復讐するアシスタント(相楽晴子)らとの戦いを描き、きっと少女マンガ家ってこうだろうなーという世界を描いていました。 『オンリー・ユー 愛されて』(96,NTV系)は人気モデル(鈴木京香)と知的障害者(大沢たかお)の愛を中心に描きつつ、それにからむのはヒロインのすべてを奪おうとする後輩モデル(稲森いずみ)、恋敵役時代の稲森いずみの集大成的キャラでした。 記憶に新しいところでは(といっても三年前ですが)『ファイティングガール』(01,フジ)。気に入らない男には口より先に手が出る小夜子(深田恭子)と留学生・亜美(ユンソナ)がTシャツショップを始め、お互いの意見の違いからケンカを繰り返しつつ、世間の不合理にぶつかっていくことで友情をはぐくんで行きます。 『黒革の手帖』第一話と相前後して、フジテレビのスペシャルドラマ『熱き夢の日・2002年ワールドカップを招致した男たち』で男臭いドラマもできることを見せています。 以前、記事で書きましたがガイドは90年代初めから活躍している中堅女性脚本家を「3ユミ・2エリ・1シズカ」と呼んでいます(他の人は誰も使ってくれませんが)。 そのうち西荻弓絵、北川悦吏子、小松江里子、大石静の四人は90年代の活躍が華々しかった分、ここにきてちょっとお疲れという感じがします。 それに対し、今元気なのは、残るダブル・ユー、『GOOD LUCK!!』『白い巨塔』と立て続けにヒットを飛ばした井上由美子と神山由美子。これまでやや地味でも骨太な脚本が書ける二人が浮上してきました。 |