ドラマ/刑事・推理・サスペンスドラマ

DVDで選ぶホラードラマベスト3

お茶の間に映像が飛び込むテレビドラマではあまり過激にホラーというわけにはいかず非主流派のドラマが中心となりましたが、それだけにメジャーなドラマとは違った味があります。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

「DVDで選ぶ」シリーズ第二弾は夏らしくホラードラマです。

お茶の間に映像が飛び込むテレビドラマではあまり過激にホラーというわけにはいきません。選んでみると怪獣ものが得意の円谷プロ作品、テレビ東京系の深夜ドラマ、そしてNHK教育と非主流派のドラマが中心となりましたが、それだけにメジャーなドラマとは違った味があります。

一番怖いのは人間~『怪奇大作戦』

「『怪奇大作戦』とは、科学を悪用して犯罪をおかす者と、正義と科学を守る者との対決を描く怪奇犯罪ドラマである」

シナリオの巻頭に掲げられていたこのフレーズがこのドラマのほぼすべてを説明しています。主人公は科学捜査研究所・SRIのメンバーたち。警察が解決できない事件を科学捜査の力で事件を解決するというものです。

円谷プロ制作で『ウルトラセブン』の後番組ですが、怪獣SFドラマであるウルトラシリーズとは大きく違う点があります。「怪獣」は元祖であるゴジラが「核爆弾に対する大自然の怒り」を象徴していたように、怪獣ものは人間とは異なるものと相対するドラマでした。
しかし『怪奇大作戦』が戦う相手は犯罪者、それが象徴するのは人間の心の闇、弱さ、現代社会のひずみなどの「人間の非人間性」です。

主人公格は行動派で正義感の強い三沢京助(勝呂誉)ですが、正義を目指して事件を解決してもどうしようもない問題が残って挫折してばかりです。

そんな展開で目立つのはむしろ冷静で理論派の牧史郎(岸田森)。犯人の動機は気にせず科学と科学の戦いで事件を解明していきます。

しかし『京都買います』はそんな牧が犯人の女性に恋して唯主体的に関わってしまうエピソード。これともう一つの京都ロケ編『呪いの壺』が映像美で知られる実相寺昭雄演出も見応えあり名作として知られ、この二作が含まれているVol.6が特におすすめです。


脚本:佐々木守、上原正三、金城哲夫 他
演出:実相寺昭雄、飯島敏宏、円谷一 他
制作:橋本洋二、森田康司、野口光一
出演:勝呂誉、原保美、岸田森、松山省二、小橋玲子、小林昭二

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