北条政子(岩下志麻)と北条義時(松平健)がひとしきり会話した後、松平健の北条義時がいってしまいました。
「またー、姉さん、そんなこといっちゃって」…
北条義時が北条政子に「姉さん、そんなこといっちゃって」というかー!とぶちきれて、それから苦手になってしまったのでした。この時の衝撃から比べると『新選組!』がどんなに史実から離れていてもなんということもありません。
まあ、実際の北条氏が「姉上、おたわむれを」とか今の時代劇でおなじみの言葉でしゃべってたわけじゃありません。信長・秀吉・家康も尾張・三河弁で会話していたのだ、という小説もあります(清水義範「金鯱の夢」集英社文庫)。しかし時代劇のお約束として許容できるレベルがあります。今ならいいかもしれませんが25年前では…
中島丈博の代表作をみると昔はだいたいNHKです。大河ドラマを『草燃える』『春の波濤』『炎立つ』『元禄繚乱』と脚本家として最多の四作を手がけたのをはじめ、土曜ドラマ『寺島町奇譚』(76)、ドラマ人間模様『事件』(78,大岡昇平原作の第一作、『草燃える』にかかったためそれ以降のシリーズは早坂暁のオリジナル脚本になりもっと暗くなる)、モンテカルロ国際テレビ祭特別賞受賞の『極楽家族』、銀河テレビ小説『青春戯画集』(81)、時代劇『壬生の恋歌』、モンテカルロ国際テレビ祭脚本賞受賞の『野の清ら山の清らに光さす』(83)と最近、NHKアーカイブスや50周年企画で再放送されたドラマが多くあります。
民放はその濃さを受け止められなかったのか、めぼしいところでは宮本輝原作の『避暑地の猫』(88,テレビ朝日)ぐらいか。
89年に向田邦子賞を受賞(対象作は『幸福な市民』『海照らし』でどちらもNHK)し、『草燃える』から10年もたつとようやくガイドの苦手意識もこのあたりで払拭されました(それにしても我ながらかなりしつこい)。
松たか子がみずみずしかった『藏』(95)は好きな作品です。
それと相前後していよいよ東海テレビドロドロ路線を書き始めて『風のロンド』(95)、『真夏の薔薇』(96)、『砂の城』(97)、そして『真珠夫人』と続きます。
それ以外の民放作品では月曜22時のよみうりテレビ枠で『失楽園』と『永遠の仔』。やはり濃いですね。