――ドラマの演出は具体的にどういうことをするんでしょうか。まずは企画から撮影の前まで。
企画段階ではプロデューサや脚本家といっしょに、具体的な映像を考えながら揉んでいます。どんな街、部屋に暮らしていて、どういう人なのかということを。これらを個人的には“世界観を持つ”と呼んでいます。それをもとにロケハン(ロケ地の下調べ)をし、セットづくりを美術スタッフと打ち合わせし、人物表でどういう人なのかを大まかに決め衣装などを各担当に依頼します。
キャストが決まったところで衣装あわせをしますが、単に衣装を着てもらうだけではなくて、俳優にどういう役なのかを説明してディスカッションしながらキャラクターをつくっていく重要な作業です。
――それから実際の撮影ですけど、絵コンテを描くんですか? なんか演出というと絵コンテをイメージするんですけど。
テレビドラマではほとんど描きませんね。タイトルバックぐらいでしょうか。ドラマだと予算・時間の制約が多くて絵コンテを描いてもその通りにはとれないことが多いんです。日本映画でも少ないと思います。ドラマでは絵コンテの代わりに台本の空いたところにカット割りを書き込みます。
――それから編集ですが、アビットというのをよく聞くんですがこれはどういうものなんですか?
オフラインの編集機ですね。ビデオショップの高性能版と思ってもらえればいいんじゃないでしょうか。これによって編集作業は楽になりました。以前はこちらで仮に編集した後、本作業が専門の編集スタッフによって行われていたんですが、今ではアビットの編集でほとんど完成に近く、この後テロップを入れてテープダビングするだけです。
編集作業としては、1時間の民放ドラマで実質45分ですから、最初に5分くらい長めにまとめだんだんと切っていきます。
それから音楽づけです。ドラマは音楽によりかなり変わってきますから、重要だと思うしまた自信のあるところです。選曲はサントラからと一般の曲を使う場合がありますが、ぼくはサントラが好きです。一般の曲を使う場合、放送ではテレビ局が包括的に使用許諾を得られるからいいんですけど、ビデオ化の時に洋楽で使えない場合がでてくるんですよね。そうすると作り直さなければいけないし、テレビ放送されたものとビデオ化されたもので雰囲気が違ってきますから。
――今後はどんな作品を作っていきますか?
やはりコメディですね。7歳の娘がいるんですが、『OLビジュアル系』でこの子が楽しめるようにと考えてつくりました。台湾では大人気なんだそうで、小さな子供にわかれば世界に通用するということでしょうか。
――最後にこれから演出家をめざそうという人にアドバイスをください。
本、映画、ドラマとなんでも範囲を限定せずにたくさん見ていくことですね。たくさん見ているうちに自分の好きな作品はどんなものなのかというのがわかってきます。そこから自分のスタイルというものを考えていくといいと思います。
<関連情報>
10月5日に『OLビジュアル系』のスペシャルドラマが放映されます。詳しくは『OLビジュアル系』のサイトをご覧ください。
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