1972年から83年にかけてNHKで放送された『少年ドラマシリーズ』。その名の通り少年少女向けのドラマシリーズです。その中でも筒井康隆、眉村卓、光瀬龍など一流のSF作家の作品を原作にした『タイムトラベラー』『なぞの転校生』『未来からの挑戦』『幕末未来人』といったSFドラマは少年たちの心をとらえ、影響を受けた多くの作品を産みます。
大林宣彦監督が角川映画で『ねらわれた学園』(≒『未来からの挑戦』81年)『時をかける少女』(=『タイムトラベラー』83年)を制作。
ドラマではフジテレビ『ぼくたちのドラマシリーズ』(92~94年)で『時をかける少女』『幕末高校生』(=『幕末未来人』)を作り、スタッフが「これは『ぼくたちの少年ドラマシリーズ』です」と公言。
本家のNHKでもシリーズ復活をめざし96年に『NHKジュニアドラマシリーズ』と銘打った『クラインの壺』をつくるがこれは不発。
しかし98年には少年犯罪抑制の一助になろうと『ドラマ愛の詩』シリーズを企画。『オグリの子』など初期の単発作品はなどたしかに心暖まるドラマでしたが、99年に放送枠が教育テレビ土曜18時に固定されてから、『少年ドラマ』DNAが表にでてSF・ミステリ色が強まります。
特に昨年の学園ホラー『六番目の小夜子』(原作者からして「少年ドラマシリーズのオマージュ」だと言っている)は過去の作品を越えるデキでした。現在も眉村卓原作『幻のペンフレンド2001』が放送中ですが、これは古い原作の消化が今ひとつ。
そんなシリーズの中でも特に『タイムトラベラー』は第1作だけに強いインパクトを残しましたが、当時のNHKはコストダウンのためテープを上書き再利用していたため、原盤を保存していません。
原田知世版『時をかける少女』制作時には「大林監督が『タイムトラベラー』を保存しているマニアに見せてほしいと頼んで断られた」という噂がありましたが、それはデマで、長らく存在しないと思われていました。
しかし最近、最終回のみ一般家庭用ビデオで録画されていたものをNHKが入手、ネット上で展開された「少年ドラマシリーズ復刻キャンペーン」の後押しを受け、最新のデジタル処理を施されて過去にビデオ化された作品とともに、3月23日よりアミューズピクチャーズからDVDで発売されることになりました。
もちろんSF/Xなどは古いでしょうが、それを上回るドラマ的魅力はあるのか、それとも歴史的価値しかないのか? 一見の価値はありそうです。
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