「赤ちゃん返り」は妊娠中から? 2歳児の自己主張と赤ちゃん返り
ママのお腹に耳を当てて赤ちゃんの心臓音を聴いている
Q:2番目の子どもを妊娠したことで、現在2歳になる息子が情緒不安定で反抗的になってしまいました。今までしなかった行動が見られるようになり心配しています。例えば、今までよりも「抱っこして!」と言ったり、頭を壁や床にわざとぶつけたりして、大人の関心を引こうとしています。
できるだけ息子の気持ち優先してあげたいと思うのですが、足元に落としたおもちゃまで自分で取らずに「ママ取ってー」と甘えているのを見ると、「将来ワガママに育ってしまうのでは……」と少し心配になります。これから手がかかる新生児の子育てがプラスされると思うと不安です。お兄ちゃんになる息子にどう接したらいいでしょうか?
ママの精神状態は子どもにストレートに伝わる
A:第2子ご懐妊おめでとうございます。育児をしながらの妊娠生活は思っているように物事が進まず、焦ったりストレスを感じることもあるでしょう。妊娠初期にはできていたことも、日増しに大きくなるお腹をかばいながらの育児は、肉体的にも精神的にも負担が増加しがち。それでも毎日頑張れるのは「産み育てる喜び」が未来にあればこそ。しかし、頑張りすぎは禁物ですよ。無意識のうちに「ママだから」と自分を追い込んでいませんか? 生活リズムの達成水準をちょっと下げて、ゆったり過ごすように切り替えてみましょう。
ママの精神状態は子どもにストレートに伝わります。大好きな人の様子には誰だって敏感になるでしょう。妊娠中から上の子が赤ちゃん返りをするのはそれだけ現在、ママを独占して満足している証拠です。上の子は見えないライバル出現に戦々恐々としているからこそ、「赤ちゃん返り」というストライキを決行するのです。
子どもの気持ちを安定させるためには、ママの「産み育てる喜び」をお兄ちゃんにもしっかり伝えてあげましょう。お腹をさすりながら「○○君の時にも、こうやってお腹に向かってお話していたのよ」など、言葉や態度に出して新しい家族への気持ちを表現しましょう。
「赤ちゃん返り」とは?
上の子どもにとって、今まで100%自分のものだった愛情が分散するような危機感を察知し、抵抗するのが「赤ちゃん返り」と呼ばれている行動です。参考:「赤ちゃん返り」の症状と上の子が安心する上手な対応
赤ちゃん返りは永遠に続くものではありません。諦めることもそこから脱出するよい方法です。子どもは危機感を持ってこのように荒れているのだと受け止め、十分甘えさせてあげましょう。
「甘えさせる」ことは逆に自立を促す
成長する段階で、親に甘えることはとても大切な意味があります。将来甘えん坊になってしまうのでは?と心配する方が大勢いらっしゃいますが、そんなことはありません。子どもが求めるときに十分に要望を聞いてあげることは、かえって自立を促すことに通じています。ここで大事なポイントは、要望を聞いてあげることと、何でも言いなりになることを混同しないということ。社会にはルールやマナーがあります。ルール・マナーの部分と子どもがママに甘えたい欲求を見分ける目を、親は学んでいきたいものですね。
今回のご相談にもある、「落としたものを拾って!」と子どもが言った場合の例を取り上げてみましょう。
- 「はい」と笑顔で拾って渡す
- 「自分で拾わなくちゃダメでしょ」と文句を言いながら拾って渡す
- 「何言ってるの! 自分でしなさい」と要求を退ける
- 「拾ってほしいんだねー。ママも拾ってあげたいけど、お腹が苦しくて拾えないのよ。○○君ママを助けてくれない?」と答える
子ども自身の中に発生した感情で、次に取る行動に変化を生み出します。自分にもママを助けることができるという喜びを発見するかもしれません。ママが拾ってくれなくとも、子ども自身で名案を考えつくかもしれません。
毎日の生活の些細な積み上げがコミュニケーションの訓練にもなり、褒めて育てる良いチャンスになりますよ。