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「新しい考え方」が始まる本。

NHK教育『ピタゴラスイッチ』のスタッフによる絵本『ピタゴラBOOK』から、第1弾「ぴったりはまるの本」をご紹介。シンプルな線図から生み出される「ぴったり」の気持ちよさ。大人も子どもも楽しめます!

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド


NHK教育『ピタゴラスイッチ』で世の子どもと大人を魅了してやまないユニークなアイデアを次々と発表する、慶応大学・佐藤雅彦研究室。その卒業生からなるクリエイティブ・グループ「ユーフラテス」の手による絵本『ピタゴラBOOK』から、第1弾「ぴったりはまるの本」が出ています。短く平易な文章、一目でわかるシンプルな線図から生み出される、「ぴったり」の気持ちよさ。好奇心いっぱいな幼児から、なんかもやもやの大人まで、そんなあなたに「ぴったり」です。

ぴったりはまるの本

『ぴったりはまるの本』 佐藤雅彦+ユーフラテス
『ぴったりはまるの本』 佐藤雅彦+ユーフラテス 本体900円 ポプラ社

1999年、子ども界と大人界に大激震をもたらした天才・佐藤雅彦氏の『だんご3兄弟』。ご本人は『だんご…』の、と紹介されるのはお好きではないと聞きましたが、以来、その人脈からNHK教育テレビでの仕事(『あっという間劇場』)を手がけ、2002年には15分番組『ピタゴラスイッチ』がスタートしました。

スタートと同時に大反響を呼んだ『ピタゴラ』は、子どもももちろん大人をも巻き込み、番組を詳細に追い、レビューするファンサイトまで登場して、大人気を博しています。

一見無意味なポーズの連続が調和をなす『アルゴリズム体操』『アルゴリズム行進』、佐藤雅彦・内野真澄の作風(線画)のバリエーションでもある『10本アニメ』『FRAMY』、子どもとお父さん(またはおじいちゃん)の関係や暮らしが垣間見えて楽しい『お父さんスイッチ』、各コーナーの合間にビー玉やミニカーが息もつかせぬ大冒険の末にすばらしいフィニッシュを決める『ピタゴラ装置』など、独特の佐藤雅彦的世界観を一般化し、数学的概念や抽象的思考などの「新しい考え方」を示す教育番組の登場に、世間は度肝を抜かれました。

そしてこの『ピタゴラスイッチ』の制作メインスタッフを担当し、この番組で鍛えられたとも言える慶応大学湘南藤沢キャンパス・佐藤雅彦研究室の卒業生たちが、クリエイティブ・グループ「ユーフラテス」として、2006年から始動。『ピタゴラ』関連本やDVDなどのメディアプロダクトのデザインを手がけ、2006年から順次リリースしています。

そんな『ピタゴラ』関連プロダクトの中でも、2006年10月に発売となったピタゴラBOOK第1弾『ぴったりはまるの本』をガイドは大プッシュ!絵本という、「自分の間合いで」(巻末、佐藤氏の言葉より)ページをめくることのできるオールド・メディアの良さに、佐藤研(ピタゴラ)DNAである「新しい考え方」を載せた出色のヴィジュアルブック(絵本?)です。

幼児が手にしても危なくない、角の丸まったチャンキー(厚みのある)なボードブックをめくる度に、サインペンで描いたような「ものの輪郭」が出てきます。これに「ぴったりはまる」のは、いったい何か?おうちのなかによくあるものの中から想像し、実際にぴったりはまったときの気持ちよさ。子どもたちには「もののかたち」の抽象化と、その反対の具体化の両方の作業の楽しさを教え、一方で大人には日々の忙しさで忘れがちな日用品をもっと楽しむ視線を提供する、ユーフラテスの生き生きとしたクリエイティビティには脱帽。

軽やかな「ひらめき」「発想」の裏に、実は立証され体系化された哲学と科学を持っている『ピタゴラBOOK』の次回の刊行が待ち望まれます。
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