仕事、人間関係、家庭、子育て……。いろいろ抱えながら、多忙な日々をひたすら疾走しているあなた。冬の夜のひととき、「大人も号泣できる絵本」をゆっくりと開いて、その疲労とストレスをすっきり洗い流してデトックス(解毒)しましょう!
『涙腺刺激度』(☆3つが最高)はあくまでもガイドの主観ですので、ご了承ください。
『悲しい本』(涙腺刺激度 ☆☆☆)
マイケル・ローゼン 作 クェンティン・ブレイク 絵 谷川俊太郎 訳 |
悲しみとは、かくも人を蝕むものか。最愛の息子を亡くした男のモノローグ。ところどころユーモアを交えた語り口に、身を切るような喪失感がにじんで痛い。今秋映画化された『チャーリーとチョコレート工場』原作本の挿画家、クェンティン・ブレイクが描き出す男の姿は、流れるロンドンの風景の中でそこだけが光を失っている。
光のあった日々。男は、ロウソクの灯を見つめてそれを思う。
「……幸せそうに見えるかもしれない。じつは、悲しいのだが、幸せなふりをしているのだ。悲しく見えると、ひとに好かれないのではないかと思ってそうしているのだ。」
1ページ目。幸せなふりをしたことのある人なら、ここから涙腺が全開だ。
『だいじょうぶだよ、ゾウさん』(涙腺刺激度 ☆☆)
ローレンス・ブルギニョン 作 ヴァレリー・ダール 絵 柳田邦男 訳 |
死を恐れ、死を受け入れ、死を迎える準備をする。年老いたゾウが「遠いゾウの国」へ行くことを、幼いネズミは成長とともに受容する。「大人にこそ絵本を」と、近年活動に尽力する柳田邦男さん訳。死とは、喪失することではなく、「見送る」ことなのだ。「きっとすべてうまくいくよ……」と幼いネズミが最後につぶやく言葉が印象深い。
『ポテト・スープが大好きな猫』(涙腺刺激度 ☆☆)
テリー・ファリッシュ 作 バリー・ルート 絵 村上春樹 訳 |
村上春樹さん訳の話題の新刊。おじいさんと猫の静かな暮らしに、ある日、ある変化が起きる。静かに刻まれるリズムの中に、突如現れる空白。パートナーシップの不調も、きっかけは愛で始まる。もう一度暖かな気持ちになれる本。
『おおきな木』(涙腺刺激度 ☆☆)
シェル・シルヴァスタイン 作・絵 ほんだ きんいちろう 訳 |
惜しみなく与える者。容赦なく奪う者。二者の関係の中、自分はどちらだろうと考えさせられる。親に対しては?子供に対しては?配偶者に対しては?友人に対しては?対人関係で満たされないものがあるなら、この本で振り返ってみよう。読む時期によって、誰を思い起こすかによって、それぞれに得るものが変わる本。この本がベストセラーののちロングセラーとなったゆえんだろう。
『おくりものはナンニモナイ』(涙腺刺激度 ☆)
パトリック・マクドネル 作・絵 谷川俊太郎 訳 |
きっとどこかで目にした事のあるコミック、「Mutts」の作者パトリック・マクドネルによる、ネコ好き、イヌ好き双方に訴求する愛らしい絵本。シンプルな文、シンプルな絵。シンプルでストレートなテーマ……47ページまでは。最後の見開きページでグッとくる。読後感はちょっぴりリッチだ。
『ザガズー じんせいってびっくりつづき』(涙腺刺激度 ☆)
クェンティン・ブレイク作・絵 谷川俊太郎 訳 |
冒頭で紹介した『悲しい本』の挿画家、クェンティン・ブレイク作・絵。「ザガズー」なる謎の生物の生育記。実はあなた。そしてあなたの子供。みんなこうやって育ってきた。そうだそうだ、子育てなんてザガズー育てだと、フッと楽になって笑みが浮かぶ。もし子育てに悩んでいたら、個人的にどんな子育てバイブルよりもお勧め。
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