セサミの理念に共感した者たち
NHKがセサミの放映権を手放す一方で、セサミの理念を理解し、共感する日本のパートナーとしてセサミストリート パートナーズ ジャパン(SSPJ)が設立されました。(詳しくはこちら。pdfファイル)
出資企業は全部で5社。出資比率の多い企業から、(株)アサツーディ・ケイ、(株)ウィーヴ、(株)日本経済社、テレビ東京ブロードバンド(株)、(株)オデッセイコミュニケーションとなります。このうちアサツーディ・ケイとウィーヴは、ともに幼児向けアニメの制作でノウハウを蓄積し、高く評価されています。
最近、TVやインターネットなど、メディアでセサミのキャラクターをよく目にするようになったと思いませんか?SSPJはセサミストリートのほぼ全ての独占化権を有しています。これを強みとし、TVに限らず雑誌・新聞・インターネットなどに広くメディアミクス戦略を展開しているのです。これもまた、子どもたちへの教育効果の最大化を目的とした模索であると説明されています。
世界的に認知されているセサミストリートは、キャラクタービジネスとしても、もちろん魅力的です。この5社からなる制作委員会形式のSSPJもまた、キャラクターライセンス契約によるロイヤリティー収益を核として運営される予定です。
日本語版に込められた想い~日本の子供たちの視線で
日本語版制作のカギは、「日本の子供たちの視線」という、従来の英語版には決してなかった要素でしょう。これについて、セサミストリートのオフィシャルホームページでは、以下のように説明しています。
セサミストリートは常に子供の視点で物事を考え、国境や文化の違いを乗り越えて、子供たちの可能性を広げる新しい世界を創造し続けています。
日本の子供たちに生きることのすばらしさを親しみやすい表現でメッセージしていく。子供たち一人ひとりの個性を信じ、それぞれの可能性を伸ばしていくために、セサミストリートは新しくなりました。
元気いっぱいなセサミストリートのキャラクターが日本で生活し、遊び、そして冒険を繰り広げます。
(中略)
日本ではこれまで、字幕や吹き替え形式でアメリカ制作版が放送されてきましたが、新しく始まる日本の「セサミストリート」は、日本の子供たちを取り巻く環境を掘り下げて、日本の子供たちのために日本のスタッフの手によって制作されました。 単なる英語教育番組ではなく、子供たち一人ひとりが、自分とは違う何かや、初めてのことをおもしろいと感じることができる「多様性」を持てるように、世界中の同じ世代の子供たちの映像やアニメーションを紹介したり、身近な日常の中から自然とのつながりを見つけることのできるコーナーを盛り込んでいます。
この番組制作は、日本の教育者や児童発達専門家のアドバイスに基づいており、番組の学習目標として日本の文化と、自然と多様性を掲げています。また、「多様性」の中には簡単な英語のフレーズを学習するといったことも含まれ、従来の英語教育の取っ掛かりとしての性質も引き継ぐようです。
日本語版セサミを応援したい
日本人の視点での生活、家族、人や地域との関わりや、環境、自然を学んでいくという新しいコンセプトにワクワクしてきませんか?
確かに、英語版セサミストリートの放映終了は残念です。日本人の子ども達が初めて英語に触れる機会として長年親しんできたものですし、私たちもまた、あのセサミで米国の風を感じ、育ってきたのではないでしょうか。
しかし、この日本語版制作の経緯と、その根底に流れるセサミワークショップの理念を知るにつけ、新生セサミへの共感が湧いてくるのは決して不自然なことではないでしょう。私たちが親しんできたセサミからの、世代交代。新しい世代である子供たちのためにも、新生セサミストリートをぜひ応援していきたいものですね。