Chinese, Hangul, Tagalog, Indonesian
海外で子育てする「ハードル」
春、人事異動発表。子供のいる家庭で海外駐在が決まるなどして、まず第一にお母さんが買いに走るのは電子辞書なのだそうです。それも、「できるだけ単語数の多いものを持っていったほうがいい」と先輩にはアドバイスされるとか。
不慣れな海外の生活で、ある夜突然お子さんが嘔吐を伴う40度の発熱。大慌てでお子さんを救急病院に連れて行き、医師の問診に、「子供が夕食後どんな様子だったか」を正確に詳しく伝えることはできるでしょうか。
言葉の通じない医師が何事かを説明した後、お子さんに注射を打とうとしたとして、とっさに「息子にはアレルギーがある」と、外国語で伝えることはできるでしょうか。
かく言うガイドも、何年か前に中耳炎が治りかけた娘を米国のサマーキャンプに連れて行き、いかにして先生に「娘は中耳炎で抗生物質を飲んでおり、プールには参加させないでほしい」と伝えるか、しばし考えた事があります。
「中耳炎」って、なんて言うんだっけ?「抗生物質」は?正確な発音は?
その子が持っているアレルギー、病歴、現在飲んでいる薬の種類などを正確に伝えられなかったがために、トラブルとなってつらい思いをするのは子供。英語圏ならまだしも、なかなか日本では触れる機会の少ない言語の国では、お母さん達のプレッシャーも相当なものです。
外国語の母子手帳があれば……
新生児を抱えて海外に渡ったあるお母さんは、その国の乳児検診で
「わが国の標準的な赤ん坊よりも小さい。栄養失調ではないか」
と言われ、ひどく悩んでしまったとか。日本人としては標準的にすくすく育っている赤ちゃんなのに、こういう摩擦もあるのです。日本人の赤ちゃんの平均的な成長曲線が書かれたものがあれば、きっとその保健婦さんを説得することもできたでしょう。
また、国によって義務とされている予防接種の種類もまちまち。日本でどれを受けた事があり、どれは未接種であるかをきちんとその国の言語で記録したものがあれば、お母さんにはどんなに心強いでしょう。
そこで、財団法人母子衛生研究会では、海外で言葉や文化の違いに戸惑いながらも、がんばっている日本人ママ達の「海外で使える母子手帳が欲しい」と切望する声の高まりに答え、二ヶ国語併記(英語、スペイン 語、ポルトガル語、ハングル、中国語、タイ語、インドネシア語、 タガログ語の8冊)の母子健康手帳を発行し、その普及のためのキャンペーンを国内、海外で実施しています。