フランスは幼稚園が長い
もう少し子供が大きくなると幼稚園に進ませるが、フランスの幼稚園の保育時間は朝8:30から夕方4:30までが一般的。この間に読み書き、数の認識などの初期教育を受け、さらにその後、延長保育で7時くらいまで遊ぶ。日本の一般的な幼稚園が2時くらいに終わり、一方公立保育園では初期教育を期待する事ができないことを考えると、両方の長所をあわせたフランスの幼稚園には羨望を隠せない。
もちろん長い保育時間を必要としない家庭では、子供の発達に応じて親が早めに迎えに行くなど、フレキシブルに幼稚園を使えるようになっている。また、幼稚園は週4日が一般的で、水曜日と土日が休み。ワーキングマザーは水曜日にはベビーシッターを一日雇うなどして、子供を自宅でゆっくり過ごさせてあげる。
日本は保育後進国?
女性が田畑作業などで労働力となるのが歴史的に当たり前だった日本。しかし当時から「村」で子供を育てるのが一般的だったせいか、産業構造の要請から女性の専業主婦化が進むと、職業としての保育者は数が限られてしまい、「先生」になってしまった。正直、「先生」に保育を頼んで一日中ベビーシッターをしてもらうなんて、ユーザとしては使いにくいサービスである。
また、幼稚園が教育をする場、保育園は保育をする場、なんて不文律があると、その双方を望む母親たちとしては、どこに子供を預けていいかわからない。子供の教育を望むなら幼稚園に通わせて母親は就労を諦め、子供の保育を望むなら保育園に通わせて母親は就労に励む、なんていう構図はばかげているように思えるが、社会的にも母親たちの認識の中にも厳然として残っている構図である。
民間保育園の中にもその双方の長所をうまく組み合わせ、教育と長い保育時間の双方を実現しているところもある。しかし、日本で一番高いものが人件費である以上、民間の保育サービスのコストが非常に高いのも現実。教育のグローバル化を謳う割には、外国人労働者のベビーシッターへの参入を頑として拒み、保育コストを高止まりにさせている行政にも、疑問が残る。
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