日常着としての「舶来」子供服
知人に、「うちの息子(ちなみに小学生)、アルマーニじゃないとウエストが合わないの」と言った女性がいる。あるカトリックの幼稚園を見学しに行ったら、並んだ子供たちの靴の半数以上が海外のブランド物だった。
こんなことを聞くと、「贅沢な」と眉をひそめる向きもあろうが、しかし母親たちがわが子のここ一番(余裕があれは日常着)のためにと、舶来の子供服を購入するのはそう珍しい話ではない。
日本製の子供服より安価なこともよくあるくらいで、海外メーカーの子供服のデザイン性と品質をかんがみれば、これはまったくのグッドチョイス。いまや「舶来」子供服は、都心部の子供生活においてはきわめて日常的な風景なのだ。
かくいう私も、娘の子供服は米国製と決めていた。たまたま米国に縁があったため、訪米のたびに子供服をわんさか買って帰ってきたものだ。だって、何よりも「安くてかわいい」。ジーンズが10ドル、Tシャツなんて4ドルくらいでそこそこのデザインのものが手に入るし、かつて言われた「米国の服は洗うと縮む」という点もいまやすっかり改善されている。
日本で日本のメーカーの子供服をそろえるのは、むしろ実に高くつくのだ!子供はどんどん成長するし、泥遊びやらケチャップやらでよく汚してくれるし、安価で思いっきり洗濯できて、しかもかわいいデザインの米国製子供服には、母子ともども本当にお世話になった。
自由が丘に行こう
で、自由が丘界隈には「舶来」子供服店が本当に多い。海外の子供服慣れした人でも、少し歩けば「おっ」と興味の湧く服に、必ず出会うはずだ。東急東横線・大井町線自由が丘駅南口から徒歩3分、GAPの少し先、「Ladybug Kids(レディーバグキッズ)」で、そんな子供服に出会ってしまった。
パリはセーヌ左岸の高級メゾン、「Bonpoint(ボンポアン)」のシルクシフォンドレス……うっとりするほど柔らかく、かすかにスモーキィな絹100%のドレスは、さすがフランスの貴族階級を相手に子供服を提供してきた歴史あるメゾンらしく、気品に溢れている。昨年春夏のコレクションでは、いくつもの花がついたベロアのベルトを締めるシフォンのワンピースもあって、つくづく唸らされた。「これは……見慣れた米国製の子供服にはない、卓越した『美意識』だぞ」、と。