タミフルは危険? 公的な見解
Q:11歳の息子が最近、インフルエンザにかかりました。小児科にかかってタミフルを処方されたのですが、新聞で「タミフルを飲んで転落死」した中学生の記事を見て、不安になりました。飲ませない方がいいのでしょうか。教えてください。タミフルは悪者? はたしてその真相は……(写真はイメージです) |
これは、最近話題のインフルエンザ治療薬、タミフル(リン酸オセルタミビル)を内服した未成年2人が、内服後まもなく異常な行動をとり、いずれも(事故、転落によるもので脳炎症状ではない)死亡したという報道を受けてのものだと思います。この事例は広く報道されたのでご存じの方も多いでしょう。元々薬の添付文書には、「副作用として異常行動や幻覚などが起きる場合がある」と書かれていますが、そのために死亡に至った例は初めてでした。
それ以前にも昨年2006年、厚生労働省がタミフルを内服して幻覚や異常行動、意識障害があった例をまとめていますが、現段階では、それらの症状については「インフルエンザそのものによる脳炎・脳症の可能性もあり、タミフルの副作用とは断定できない」としています。
製造元のロシュ社は、タミフルの安全性について、「インフルエンザの脳炎などによる症状の起きる可能性と、タミフルを飲んだ後に出てきた症状の起きる可能性には差がない。よって、タミフルを飲んだからそういう症状が出やすくなるとはいえない」という見解です。
海外での状況
これまでに書いた厚生労働省やロシュ社の見解は、主に日本人のデータに基づいたものです。それでは、海外ではどのような状況になっているのでしょうか。実は海外でもタミフル服用後の異常行動の報告がされています。BBCニュース(英語)では、タミフルによる精神的副作用が世界で48件報告されている、としています。その内訳は以下の通りです。
- 日本 28件
- アメリカ 10件
- カナダ 5件
- ドイツ 3件
- フランス 2件