日本いいもの再発見。Zekooに見出され愛され続けるTシャツ
日本でこそ創りえるTシャツとは |
「色丸首」の名で、戦後いちはやくTシャツ生産を開始して、未だに国内生産の火を守っている数少ない国産メーカーとして、私たちに着目してくださったのです。
市場には、欧州ブランドの高価なラグジュアリーブランドか、安価な量販カジュアルブランドが出回っていましたが、実際には多くが中国などで作られていました。その圧倒的な流通力を前に、世界でも最高峰の技術を誇ってきた日本の繊維製品は影が薄くなり、ものづくりの力は失われていきました。今まさに風前のともし火となりつつあるのです。
そんな中で、目の肥えたZekoo読者は、見かけだけの海外製品では満足できなかったのです。たとえブランドロゴのついていないシンプルな無地Tシャツであっても、本当にいいものであれば、1枚1万円でも惜しくないというお客様がいると聞いて、私たちは大きな勇気をいただきました。
そこで、今一度「日本でこそ創りえるTシャツ」とは何かを問い直して、形にしていく試みが始まったのです。
超長綿80番手双糸を日本の伝統色に染め上げる
初めて出会う風合いと色 |
しかし、Zekooのお客様方は違いました。今や、アパレルの流通業界の人と話してもピンとこないかもしれない「超長綿80番手双糸」という専門用語を、Zekoo読者の多くはご理解されているというのです。
綿糸は、コットンボールの短い繊維を、長い一本の糸に紡いでいくことで形になります。ですから、長い繊維を持つ綿花ほど、良い風合いの細い糸を紡ぐための高級品とされています。そして、細い糸を紡ぐ技術の方が難しく、日本の紡績会社はそれに長けていました。しかし「失われた10年」のデフレ時代に、高価ながら特別な質感のある綿糸は、なかなか市場には受け入れらなかったのです。
もちろん、Tシャツはラフで硬くて厚い方が良いという方も多いでしょう。しかし、そんな米国製Tシャツを原型にした海外製品は既に数多く出回っています。私たちが目指したのは、こんなTシャツは着たことがないというものでした。そこで、Tシャツにはほとんど使われることのなかった特別な素材を選びました。
つややかな光沢感がある素材だからこそ、染色も大切です。「百鼠四十八茶(ひゃくねずしじゅうはっちゃ)」の色彩感性を持つ日本人ならではの精妙な中間色を表現したかったのです。そこで、紺青、利休茶、濃鼠などの日本の伝統色に染め上げることにしました。
心地よいのは脇に縫い目が無いから、日本の紳士用型紙だから
良い素材だから繊細な手仕事 |
しっとりとしなやかな肌ざわり、そして、自然な伸縮がもたらすフィット感を生かすには、サイズを分けたりシェイプを出したりすための「脇の縫い目」は野暮というものです。せっかくの着心地が、台無しになるかもしれません。
そこで、サイズ別に生地を丸く編みたてた反物を使うことにしました。贅沢ではありますが、敏感肌の人でもこれなら心配ないでしょう。また、裁断で切り落とされる、もったいない端切れもでないのです。
そして、特別な生地と日本の紳士にふさわしい型紙を起こしました。職人が昔ながらに型紙を切り、手裁断で仕上げたのです。
あとは、素材の素晴らしさをこわさないように、そして長く楽しめるように、衿、肩口、袖口、裾をしっかり縫い上げます。ここでも、長年、自分専用のミシンを使って、Tシャツを縫い続けてきた職人の技と心意気が生きるのです。
>>>日本でこそ創りえるTシャツの証